『レット・イット・ビー』50周年記念

Let It Be 50周年記念

ビートルズ『レット・イット・ビー』50周年記念スペシャル・エディションが遂に発売!



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[CD 4]ゲット・バック LP - 1969グリン・ジョンズ・ミックス

グリン・ジョンズが69年5月28日に完成させたものの未発表に終わったアルバム『ゲット・バック』。ジョンズは当初のコンセプトである「過剰なオーバーダビングはしない」、「一発撮りのスタジオ・ライブ」に忠実だったようだ。 しかし、必ずしも“ベスト・テイク”が選ばれている訳ではなく、演奏ミスや途中で終わっているものが多く収められている。 リハーサル風の未完成テイクが多く、まるでアウトテイク集のような趣があるが、それはジョンズがありのままのビートルズの姿を伝えたかった結果なのかもしれない。 リリースの準備中、このアルバムは“靴下を脱いだビートルズ”と形容されていた。
後にジョンズは「実に素晴らしい日常だった」と、このセッション中の4人の姿を振り返っている。



1. ワン・アフター・909   [3:06]

69年1月30日の“ルーフトップコンサート”で演奏されたテイク。 ジョンのボーカルは左、ポールのボーカルは右、リズムセクションが中央。 スペクター版ではカットされた会話が冒頭にある。 演奏終了後にジョンがダニー・ボーイを歌い、ポール「ありがとう、モー(リンゴの先妻)」、ジョン「バンドを代表して皆様にお礼申し上げます。オーディションに受かるといいな」のセリフも聴けるが、この部分はスペクター版の「ゲット・バック」(CD1-12)のエンディングでも聴くことができる。


2. メドレー: アイム・レディ(aka ロッカー) / セイヴ・ザ・ラスト・ダンス・フォー・ミー / ドント・レット・ミー・ダウン   [1:56]

レコーディングが本格的に始まった69年1月22日のセッション。 この日から参加したビリー・プレストンであるが、たまたまアップル・スタジオに居たビリーを誘ったのはジョージだった。 唐突に始まるファッツ・ドミノの「アイム・レディ」を演奏後、会話を挟んでドリフターズの「ラストダンスは私に」の一節に続けて「ドント・レット・ミー・ダウン」のフレーズを繋げた和やかな演奏を聴くことができる。


3. ドント・レット・ミー・ダウン   [4:05]

前曲と同日のレコーディング。冒頭、ジョンが1回出だしをストップし、「最初のシンバルは景気づけにでかくしてほしい」とリンゴに言っている。 非常にゆっくりとした演奏で、この日から参加したビリー・プレストンのエレクトリック・フェンダー・ローズ・ピアノがこの曲の完成度を上げている。 ハイ・テンションのジョンはビリーのソロを絶賛している。興奮し過ぎたジョンが演奏を中断する。


4. ディグ・ア・ポニー   [4:13]

これも前曲と同じ1月22日のアップル・スタジオにおけるセッション。冒頭にメンバーの会話が入っている。ここでも出だしをトチっている。 まだ歌も演奏も粗削りであるが、プロデューサーのジョンズは当初のコンセプトに拘ったためこのアドリブが多い未完成テイクをアルバムに採用したのだろう。 後にスペクターがカットした、冒頭とエンディングに歌われる「All I want is you」のフレーズが聴ける。


5. アイヴ・ガッタ・ア・フィーリング   [2:53]

前曲「ディグ・ア・ポニー」の演奏から切れ間なく続く1月22日のセッション。 ジョンは「<ディグ・ア・ポニー>からそのまま<アイヴ・ガッタ・ア・フィーリング>に突入しよう」と話していた。 演奏は誰かがミスをして中途半端に終わっている。「音をでかくしようとして失敗した」というジョンの声が最後に聴こえる。


6. ゲット・バック   [3:14]

この曲がシングルとしてリリースする事が決まったので69年3月26日にグリン・ジョンズがミックスしている。 その後、改善の余地があると感じたポールが4月7日にジョンズと一緒にミックスをやり直している。このミックスがそのままシングルとしてリリースされ、ジョンズの『ゲット・バック』にも使用された。
マスターになったのは69年1月27日のアップル・スタジオにおけるテイク11で、後にスペクターも同じテイクを使用している。 曲が終わった後に再び演奏が始まりそのままフェイドアウトして終了する部分は翌日28日のテイク19(CD2-9)から短めに編集されている。


7. フォー・ユー・ブルー   [2:54]

69年1月25日、アップル・スタジオにおけるテイク6。 冒頭、ジョージが弾くアコースティックギターの演奏が2回失敗し、ジョンが冷やかしを入れている。 ポールが弾くホンキートンク風のタックピアノの高音部には、弦とハンマーの間に紙を挟んでいる。 スペクター版ではジョージのボーカルを70年1月8日の追加録音分に差し替えているが、ここではオリジナルテイクを聴くことができる。


8. テディ・ボーイ   [3:41]

69年1月27日、アップル・スタジオにおけるリハーサルのような演奏。 曲の後半、ポールのリードボーカルにジョンがユーモラスなコーラスをつけている。 後にポールのソロ『マッカートニー』に収録。


9. トゥ・オブ・アス   [3:29]

69年1月24日、アップル・スタジオにおけるこの曲の初レコーディングのうち、完奏された3テイクの中の最終テイク(テイク6)。 ポールが弾くアコースティックギターのフレーズが、69年1月31日の最終テイクに近くなっている。 他のテイクに比べ少しテンポが遅く、ボーカルにエコーがかかっている。


10. マギー・メイ   [0:38]

69年1月24日の「トゥ・オブ・アス」セッションで即興的に歌われたもの。 スペクター版ではジョンのボーカルは左、ポールのボーカルは右に振り分けられていたが、ここではジョンのボーカルがやや右、ポールのボーカルが中央になっている。


11. ディグ・イット   [4:10]

69年1月26日のアップル・スタジオの12分25秒のジャム・セッションを4分9秒に編集したもの。ジョンズがカットした前半の8分間はポールの義理の娘・ヘザーが延々奇声を発していた。リードボーカルはジョンとポール。 スペクターは、1分30秒から約45秒を使用している。 最後のジョンのセリフは、2日前の「キャン・ユー・ディグ・イット?」(CD2-3)から引用している。


12. レット・イット・ビー   [4:10]

69年1月31日のテイク27のジョンズによるミックス。 ジョージ・マーティンによるオーケストラのオーバーダブが行われる前のオリジナル演奏であるが、ジョージのリード・ギターのみシングルバージョンと同じ4月30日の追加録音をミックスしている。 ポールのリードボーカルにはエコーがかけられ、ジョンとジョージのコーラスはそのまま使用されている。 シングルバージョンもスペクターのアルバムバージョンも同じテイク27がマスターテイクである。 『レット・イット・ビー...ネイキッド』に収録されたものはこのテイク27がベースであるが、一部いくつかのテイクを組み合わせている。


13. ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード   [3:39]

69年1月26日のアップル・スタジオにおけるテイク8。 スペクターのオーケストラと合唱隊がダビングされる前の完全なオリジナル演奏。 ポールのボーカルには深いエコーがかけられている。間奏部にはプレストンのフェンダー・ローズのソロは無く、ポールが歌っている。 「レット・イット・ビー」と同様にジョンがベースを弾いている。 ポールはレイ・チャールズをイメージしてこの曲を歌っていたらしい。レイ・チャールズは71年の自身のアルバムで本作をカバーしている。


14. ゲット・バック(リプリーズ)   [0:42]

69年1月27日のアップル・スタジオにおけるテイク19(CD2-9)のエンディング部分を使用したもの。映画のエンディングにも使用された。


[CD 5]レット・イット・ビー EP

グリン・ジョンズが映画との整合性を保つために追加でミックスした「アクロス・ザ・ユニヴァース」と追加レコーディングされた「アイ・ミー・マイン」。 それとジャイルズ・マーティンによって新たにリミックスされた「ドント・レット・ミー・ダウン」と「レット・イット・ビー」のシングル・バージョンの4曲を収録。



1. アクロス・ザ・ユニヴァース(未発表 グリン・ジョンズ 1970ミックス)   [3:31]

グリン・ジョンズは、68年2月4日と8日にレコーディングされたこの曲のセッションテープからジョン、ポール、ジョージのバッキングコーラスとジョンのワウ・ギター、ピアノ、パーカッションをカットし、通常のテープスピードで編集した。 「過剰なオーバーダビングはしない」という当初のコンセプトを遵守し、非常にシンプルに仕上げている。 『レット・イット・ビー...ネイキッド』では更に女性コーラスをカットしたミックスを聴くことができる。


2. アイ・ミー・マイン(未発表 グリン・ジョンズ 1970ミックス)   [1:45]

この曲は“ゲット・バック・セッション”で正式にレコーディングされなかったため、ジョージ、ポール、リンゴの3人によって1970年1月3日にレコーディングされた。 グリン・ジョンズがミックスしたこのバージョンは発表されず、後にスペクターがオーケストラと14人編成のコーラスを追加してアルバム『レット・イット・ビー』に収録された(CD1-4)。


3. ドント・レット・ミー・ダウン(オリジナル・シングル・ヴァージョン ニュー・ミックス)   [4:08]

69年1月28日にアップル・スタジオでレコーディングされたテイクで、冒頭にメンバーの会話が入っている。 「ドント・レット・ミー・ダウン」のシングルB面収録が決まると2月にジョンとポールのボーカルが追加録音された。そのため、ジョンのボーカルは一部ダブル・トラックになっている。
このジャイルズ・マーティンのリミックスはリズム・セクションの音圧が上がり、ボーカルもより鮮明に聴こえる。 映画『レット・イット・ビー』でも演奏シーンがある重要な曲なのだが、何故かアルバム『レット・イット・ビー』には未収録である。


4. レット・イット・ビー(オリジナル・シングル・ヴァージョン ニュー・ミックス)   [3:52]

アルバムに先駆けて70年3月6日にシングル曲として発表されたジョージ・マーティンがプロデュースしたもの。 69年1月31日のテイク27を元に、4月30日に新たに録音されたジョージのリード・ギターを使用しているのはジョンズ版(CD4-12)と同じ。 その後、翌年1月4日にはポール、ジョージ、リンダ・マッカートニーのバックコーラスと、リンゴのドラム、ジョージのリードギター、ブラスとストリングスのオーケストラが追加レコーディングされている。 マーティンはコーラスを差し替え、ドラムとオーケストラを追加したが、リード・ギターは4月30日のものを使用している。 スペクター版と比べるとマーティン版は最後に追加したオーケストラとドラムを控えめにミックスしている。
このジャイルズ・マーティンのリミックスは69年1月31日のリンゴのドラムが迫力を増し、コーラスが左右に振り分けられボーカルのバランスが非常に良くなっている。



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