ウルトラマン

第7話

前話 バラージの青い石 次話

伝説の街バラージ。そこで隊員たちが見たものとは!?

脚本

南川 竜

金城 哲夫

監督

野長瀬 三摩地

技術監督

高野 宏一

放送日

昭和41年8月28日

視聴率

34.0%

ナレーター

石坂 浩二

ロケ地

東京都多摩ニュータウン

登場怪獣

アントラー

キャスト

ムラマツ隊長

小林 昭二

ハヤタ隊員

黒部 進

アラシ隊員

石井 伊吉

イデ隊員

二瓶 正也

フジ・アキコ隊員

桜井 浩子

ジム

エドガー・ケイザー

チャータム

弓 恵子

制作№

4

ストーリー

虹色の光の柱

虹色の光の柱

中近東に巨大な隕石が落下し、それ以来付近を通過する航空機が消息を絶つという事件が頻発した。 科学特捜隊パリ本部、トルコ支部、インド支部が調査隊を派遣したが、いずれも行方不明になったという。 遂に日本支部の出動が要請され、連絡員のジムがやってきた。 ジムによれば、隕石落下地点には謎の街、バラージがあると言われている所だという。 早速ムラマツキャップ、ハヤタ、アラシ、イデ、ジムの5人を乗せたジェット・ビートルは隕石落下地点に向かった。

目的地点に近づいた時、突然前方に虹色に輝く光の柱が現れた。 強力な磁力によりビートルは操縦不能、機体はぐんぐん光に引き寄せられていく! 「光に突っ込むんだ」ムラマツの指示で機体は光の壁に吸い寄せられるが、その勢いを利用して大きく上昇した。 ムラマツの機転で脱出に成功するものの、磁力の影響でエンジンが故障、そのまま砂漠に不時着してしまう。

砂漠に不時着したビートル

砂漠に不時着

墜落の衝撃でイデが負傷、無線機の送信機能が故障したため、本部との連絡が絶たれた…。科特隊日本支部も行方不明になったのだった。 4人はイデを残し、バラージの捜索を開始した。 砂漠を歩くと隕石落下地点を発見、放射能反応があるものの、隕石には強力な磁力光線を出す機能など無い事は明らかだった。

その頃、イデが無線機を修理していると、遠くから何かの咆哮が聞こえた。 すると突然ビートルが巨大な怪獣に襲われてしまう。 慌てて逃げ出すイデ、砂漠を走り捜索中の4人と合流した。 見ると怪獣は蟻地獄のようなすり鉢状の穴を作り、ビートルを砂に引きずり込んでいくではないか!? 隊員たちはスパイダー・ショットで応戦するが、怪獣が放つ磁力光線でスパイダーはあっという間に奪われてしまった。
「犯人はこいつだったのか!?」航空機消失の正体を目の前に、一行は一旦退却することにした。

謎の街バラージが出現!?

謎の街バラージ

砂漠を歩くといつのまにか辺りは深い霧に覆われていた。 「バラージだ。謎の街バラージだ!」ジムが叫んだ。蜃気楼のように街が忽然と現れたのだ。 遠くにはノアの箱舟が流れ着いたと言われるアララット山が見える!
街の門をくぐり、路を進むと見知らぬ老人たちに遭遇、アラビア語、ヘブライ語でもない聞いたことがない言葉で話していた。
そこにチャータムと名乗る不思議な雰囲気を持つ美女が現れた。 人の心を読むことができるチャータムは流暢な日本語で話し出した。 かつて人々はみなテレパシーの能力を持っていたが、今では彼女の一族のみが使えるという。 5千年も昔からシルクロードの交易地として栄えていたバラージであったが、恐ろしいアントラーという怪物が暴れ、街は次第に廃れてしまったのだ。 しかし、ノアの神の青い石がこの地をアントラーから守っていると言う。

不思議な美女チャータム

不思議な美女チャータム

ノアの神殿を案内するチャータム。 手に青い石を持った神の像を見た一行は驚いた。ウルトラマンと瓜二つではないか!
「ノアは宇宙人だったのか!?」

その時、外で轟音が聞こえた。アントラーが街を破壊し始めたのだ。 「とうとうバラージ滅亡の運命の日が来ました」チャータムが言う。

無謀にも老人がアントラーに立ち向かうが瓦礫が落下し危険な状態に…。 ハヤタはフラッシュ・ビームを点火。次の瞬間、アントラーの前に立ちはだかるウルトラマン。 「ノアの神!」チャータムは思わず息をのんだ…

スペシウム光線が効かない!?

スペシウム光線が効かない

アントラーは地中に潜り、ウルトラマンを翻弄する。 必殺のスペシウム光線もアントラーには通用しない!!
カラータイマーが赤く点滅を始め、明らかに劣勢のウルトラマン。 その時チャータムは走り出した。神殿からノア神の青い石を持ってくるとムラマツに渡した。 「この石を、早くアントラーへ。ノアの神をお告げです」
ムラマツの投げた青い石はアントラーの頭上で大爆発、遂にアントラーを倒したのであった!!

これで昔の平和を取り戻すかに思えたが、チャータムは静かに語った。 「遠い昔、この街は砂に埋まりました。人々の心の中でバラージは生き続けます」
複雑な思いの中、5人はバラージを後にした。

解説

アントラー

脚本はペンネーム“南川竜”こと野長瀬三摩地と、若き金城哲夫とのコンビ。 2人の持ち味である娯楽性の高いファンタジーだ。 監督は前作同様、野長瀬自身が担当。野長瀬のテンポのいい演出が作品を傑作にしている。4番目の制作となる本作は野長瀬にとって『ウルトラマン』の初仕事であった。

幻の街“バラージ”の伝説と、ウルトラマンの取り合わせが面白く、エンターティメント性の高さはシリーズ屈指。

劇中ではノア神の像を見たアラシが「5千年もの昔、ウルトラマンの祖先は地球上へ現れ、その時も人類の平和のために闘っていたのか!?」というセリフがあるが、最終回で「もう2万年も生きた」というウルトラマン自身の言葉から、ノア伸はウルトラマンだったという説明も面白いかもしれない。

怪獣データ

アントラー

アントラー

英名:ANTLAR
別名:蟻地獄怪獣
身長:40m
体重:2万t
出身地:中近東・バラージ
攻撃:3本の触角から放つ虹色の磁力光線
弱点:バラージに伝わるノア神の青い石
アクター:荒垣 輝雄
デザイン:成田 亨
造形:クワガタムシのような大きな顎を持つ昆虫型。

ノア像

ノア像

特徴: シルクロードが栄えていた時代から恐れられていた砂漠に棲む蟻地獄怪獣。
隕石が落下した衝撃により、永い眠りから目を覚ます。

バラージの街を襲うアントラー!

バラージを襲うアントラー
前話 次話
トップへ