基本データ
脚本
金城 哲夫
上原 正三
監督
円谷 一
技術監督
高野 宏一
放送日
昭和41年9月4日
視聴率
36.6%
ナレーター
石坂 浩二
ロケ地
神奈川県三浦半島剣崎
福島県裏磐梯高原
登場怪獣
レッドキング
ピグモン
チャンドラー
マグラー
スフラン
キャスト
ムラマツ隊長
小林 昭二
ハヤタ隊員
黒部 進
アラシ隊員
石井 伊吉
イデ隊員
二瓶 正也
フジ・アキコ隊員
桜井 浩子
松井所員
松本 朝夫
制作№
6
ストーリー
火山噴火のため無人島になっていた多々良島、2年ぶりに定点観測所を再開する事になり、松井、川田、佐々木、藤本の4人の先発隊が連絡船で島に向かった。
ところが10日たっても4人から連絡は無く、何らかの事故があったと見た気象庁が科学特捜隊に観測所員の救出を要請した。
科学特捜隊の5人はジェット・ビートルで多々良島へ出動する。
多々良島は今、恐るべき原始の世界に変わっていた。
火山活動により地磁気が歪み、怪獣たちが闊歩する恐怖の無法地帯へと変貌したのだった。
島ではレッドキングとチャンドラーの戦いが始まっていた。
翼で突風を巻き起こすチャンドラーに対し、巨大な岩石を投げつけるレッドキング。
レッドキングは負傷したチャンドラーの片翼をもぎ取ってしまう。
勝ち誇るレッドキングの目の前にビートルがすれ違った。
「我々の任務は4人の観測所員を救出する事だ。怪獣退治は後でいい」ムラマツキャップは憤る隊員たちを制した。
絡みつくスフラン
観測所に着陸するものの、建物は破壊され4人の姿はなかった。 怪獣に襲われて何処かへ逃げたのかも知れない。 ムラマツとハヤタは東の溶岩地帯、アラシ、イデ、フジは西のジャングル地帯をそれぞれ捜索する事にした。
アラシはジャングルで川田所員のズタズタになった服を発見した。
すると突然、巨大な蔦がイデとフジに絡みついた!
この一帯は吸血植物スフランの群生地だったのだ。
川田所員はこの植物にやられたに違いない…。
アラシはスパイダー・ショットで2人を救出し、何とか危険地帯を脱出した。
同じ頃、ムラマツらは地底から出現した真っ黒い岩石のような怪獣マグラーと戦っていた。 至近距離まで引き付けて投下したナパーム弾でマグラーを倒すものの、長い尻尾に吹き飛ばされたハヤタは崖下へ転落してしまった!
マグラーが迫る!
アラシら3人はジャングルで人間大の奇妙な怪獣ピグモンに遭遇する。
ピグモンは"MATSUI"と書かれたハンカチを残し、その場を立ち去った。
この怪獣が何かを知っていると考え、目印に特殊風船爆弾を打ち込むとピグモン追跡を開始した。
ジャングルを抜けて岩場に入り込んだピグモンの先に松井所員を発見した!
「地震と火山がこの島の自然を狂わしたのです…2年半ぶりに帰ってみたら、まるで有史以前の恐竜時代に舞い戻ったような…怪獣たちの弱肉強食の舞台になっていたんですよ…」
そう話す松井所員は焦燥しきっていた。足は負傷している。
島に上陸して1時間もたたないうちに怪獣たちに襲われたのだという。
川田所員と2人で何とかその場から逃げ出したが、その川田所員も4日前から音信不通になってしまった。
「このガイドさんがいなかったら、とても貴方を発見出来なかったわ」とフジ。
「怪獣たちの中にもこんな善良な奴を作った神を…僕は信じるようになりました。川田がいなくなってから今日までジャングルの中から食べ物や水を運んできてくれたんですから。命の恩人です」
その時、すさまじい咆哮が聞こえた。
なんとレッドキングが岩場に向かってくるではないか!?
アラシとイデはスーパーガンで応戦するも、レッドキングには通用しない。
必死に飛び跳ねレッドキングを威嚇するピグモン。
しかしレッドキングが投じた岩石の下敷きとなりピグモンは絶命してしまう。
イデはSOS信号弾を打ち上げ、ムラマツらに救援を求めた。
それを見たムラマツは負傷したハヤタを残し救助に向かう。
残ったハヤタはフラッシュ・ビームを点火!!
ウルトラマンが現れた!
ウルトラマン登場!
ウルトラマンを見たレッドキングは闘志満々、猛然と襲い掛かった。
しかしウルトラマンは強かった。レッドキングの首を締め上げ、巨体を軽々持ち上げ放り投げる。
最後は首投げ一閃、さしものレッドキングもついに立ち上がる事が出来なかった。
悪夢のような怪獣たちとの戦いは終わった。
亡くなった3所員の墓標は島を見渡せる海岸にの丘にたてられた。
黙とうを捧げる隊員たちと松井所員。
「これでこの島も南海の楽園に帰るだろう。だが自然はこの夕日のようにいつも美しいとは限らないってことを忘れてはならないね」
真っ赤な夕日をうけて3つの墓標がシルエットになって浮かび上がる…
解説
レッドキングとチャンドラーの死闘
脚本は当時27歳だった金城哲夫と29歳の上原正三。上原は『ウルトラQ』の第21話『宇宙指令M774』から参加している。
監督は第1話『ウルトラ作戦第一号』以来となる円谷一。制作順で見ると本作は第1話の後に作られたので円谷の続投だった。
冒頭からレッドキングとチャンドラーの死闘、その様子を伺うマグラーと、東映の怪獣映画を見ているような贅沢なシーンが続く。 第1クール(1話~13話)の中では最も娯楽性が高く、エンターテインメント志向の金城らしい胸躍るストーリーである。
劇中、4体もの怪獣と1体の生物が登場するのはシーズン通しても最多。 但しチャンドラーはぺギラ、マグラーはネロンガ、ピグモンはガラモンを改造しているので、新たな着ぐるみはレッドキングのみ。 これは少しでも制作の負担を軽くしようとしたスタッフの工夫だろう。 ウルトラマンの撮影を3クールに分けたのも、放映日に間に合わないための措置であった。 『ウルトラQ』とは異なり、『ウルトラマン』第2クール、第3クールの撮影は、テレビ放映と同時進行で行われたのだ。
目の前に怪獣が!