基本データ
脚本
金城 哲夫
監督
鈴木 俊継
技術監督
高野 宏一
放送日
昭和42年2月26日
視聴率
40.7%
ナレーター
浦野 光
ロケ地
東京都丸の内
東京都TBS会館
登場怪獣
メフィラス星人
バルタン星人(3代目)
ザラブ星人(2代目)
ケムール人(2代目)
キャスト
ムラマツ隊長
小林 昭二
ハヤタ隊員
黒部 進
アラシ隊員
石井 伊吉
イデ隊員
二瓶 正也
フジ・アキコ隊員
桜井 浩子
ヤマモト博士
伊藤 久哉
フジ・サトル
川田 勝明
警官隊隊長
中島 春雄
警官
岩本 弘司
制作№
33
ストーリー
その日は大空の祭典と言うべき航空記念日であった。 最新鋭の各種の飛行機が次々と姿を現し、青空を舞台に演技を競い合っていた。
フジ隊員は飛行機好きの弟サトル君にせがまれてハヤタを伴い見物にやってきた。
400人乗りの超大型旅客機の大きさに圧倒されるサトル君。
「サトル君、フジ隊員の弟たるもの、そんなもので驚くとはおかしいぞ」
「ハヤタさん、今何か言った?」声はするけど姿は見えない、サトル君は不思議に思った。
「飛行機が空を飛ぶのは当たり前だ。面白くもなんともないね。そこで私が面白い物を見せてやろう」 また声が聞こえた直後、空に巨大なタンカーが飛来し、飛行機は空へ吸い込まれていった。
危険を感じた3人は車に乗りこんだ。 「サトル君、私の力は大したもんだろ」再び声が聞こえた次の瞬間、タンカーは大爆発を起こしてしまった。 科学特捜隊本部からハヤタに調査するように連絡が入った。
「逆引力というか、特定の空間内で重力が逆に働いたのではないか」ヤマモト博士は推察した。
人工衛星が吸い上げられたジェット機群らしい電波をキャッチしているため、アラシとイデは宇宙へと向かった。
大気圏外ではバラバラになったジェット機の残骸が無数に散らばっていた。
その中にハヤタらが乗っていた科特隊の専用車も漂っている!!
本部からハヤタ、フジに連絡するが応答が無い!
アラシ、イデの必死の捜索も虚しく、3人を発見する事は出来なかった。
「3人は一体どこへ行ったのだろう?」アラシとイデが戻った作戦室に一報が入った。
「え、フジ隊員が現れた!?」
現場へ直行すると、そこには40mの巨人と化したフジ隊員が!?
無表情の顔、その眼は虚ろだ。
隊員たちはビルの屋上に上がり、巨大フジに話しかける。
「フジ君、ムラマツだ。わかるか?」
「恐らく言葉も記憶も全て喪失し、ロボットのように動かされているのだろう、このようにフジ隊員が恐ろしい姿になって地上に現れたのは、何者かが科学特捜隊に挑戦してきたんではないだろうか」
サトル君を説得するメフィラス
その頃、サトル君は密閉された空間にいた。
「サトル君、立ちなさい」サトル君が立ち上がると、そこに宇宙人が現れた。
「私はメフィラス星人だ。君が星が好きなように、私も地球という星が大好きだ。さてサトル君、私は地球とサトル君をどうしても欲しくなったんだ。でも私は暴力が嫌いでね。
そこで地球人であるサトル君に了解をもらいたいと思うんだ。この私にたった一言、『地球をあなたにあげましょう』と言ってくれないか?」
「ヤダ!絶対にヤダ!」
「でもこれをごらん」
「宇宙は無限に広く、しかも素晴らしい。何千年も生きられる星もあるんだ。私の星で永遠の命を与えようと言ってるんだ」
「僕一人がどんなに長生きしたって、どんなに豊かな暮らしができたってちっともうれしくなんかないや!僕は地球の人間なんだぞ!」
「ほざくな!」そう言うとサトル君は無重力室に閉じ込められた。
「ハハハハハ。メフィラス、とんだ見当違いだったな。サトル君のような子供でも地球を見捨てたりは絶対にしない」ハヤタが現れた。 「黙れウルトラマン、貴様は宇宙人なのか?人間なのか?」 「両方さ。貴様のような宇宙の掟を破るヤツと闘うために生まれてきたのだ」 フラッシュビームを点火しようとした瞬間、メフィラスによってハヤタの身体は固められてしまった。
巨大フジ隊員はビルを破壊し始めた
丸の内では巨大フジ隊員が暴れだした。
遂に防衛隊が発泡を開始する。
するとフジ隊員の姿が消え、そこにバルタン星人、ケムール人、ザラブ星人が現れた!!
アラシがスパイダーショットを撃とうとすると「やめたまえ、アラシ隊員。争いはよそう。闘おうと思えば私の命令で行動を開始する」メフィラスの声が聞こえた。
「私は人間の心に挑戦するためにやってきた。サトル君がもう間もなく私の頼みを受け入れてくれるだろう」
バルタン、ザラブ、ケムール人は消えていった。
滝乃川で怪電波をキャッチした防衛隊が攻撃を開始、潜伏していたメフィラスの宇宙船が露わになった。 闘いに加わったビートルも総攻撃を始め、ムラマツらは船内への侵入に成功、フジとサトル君を無重力室から助け出した。
船内でハヤタの硬直が解けた瞬間、ウルトラマンが現れた。 巨大化したメフィラス星人とウルトラマンの激闘が始まった。 互いの力はほぼ互角。空中戦、肉弾戦、光線がぶつかり合う!!
メフィラス星人は消えていった
「よそうウルトラマン、宇宙人同士が闘ってもしようがない。私が欲しいのは地球の心だったのだ。だが私は負けた、子供にさえ負けてしまった。しかし私は諦めたわけではない。いつか私に地球を売り渡す人間が必ずいるはずだ。必ず来るぞ!!」 そう言うとメフィラス星人の姿は消えていった。 そしてウルトラマンも空高く飛び去って行く。
「サトル君、よく頑張ったね」ハヤタが現れた。
「でも僕本当に苦しかったんだよ」
メフィラス星人は今度はあたなの心に挑戦してくるかもしれない。
解説
監督は前作に続き鈴木俊継、脚本は金城哲夫。 金城らしい娯楽性の高いストーリになっている。
登場するメフィラス星人はシリーズ中、最も頭脳的な敵であり、ウルトラマンに登場する怪獣・宇宙人の中では異質な存在と言える。 この人間臭い宇宙人像は金城ならではのもで、後続の『ウルトラセブン』に引き継がれていく。
メフィラス星人の声は声優の加藤精三氏によるもの。加藤はその後、アニメ『巨人の星』(昭和43年3月30日~46年9月18日)の星一徹役を担当している。
劇中、メフィラス星人の宇宙船に拉致されたハヤタたち3人を救出するシーン。ムラマツらが救出したのはフジとサトル君の2人だけ。 ベータカプセルを掲げて硬直しているハヤタを見捨ててしまうキャップの行動はちょっと衝撃的だ。。
空に現れた巨大タンカー