ウルトラマン

第10話

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怪しく光る北山湖。モンスター博士が育てているものとは!?

脚本

金城 哲夫

監督

満田 かずほ

技術監督

高野 宏一

放送日

昭和41年9月18日

視聴率

39.0%

ナレーター

石坂 浩二

ロケ地

静岡県下田温泉ホテル

静岡県一碧湖

登場怪獣

ジラース

キャスト

ムラマツ隊長

小林 昭二

ハヤタ隊員

黒部 進

アラシ隊員

石井 伊吉

イデ隊員

二瓶 正也

フジ・アキコ隊員

桜井 浩子

中村博士

森 幹夫

久保友子記者

谷 育子

林カメラマン

岡村 春彦

二階堂教授

灰地 順

制作№

11

ストーリー

怪しい中村博士の研究室

怪しい中村博士の研究室

夜の湖の畔に佇む不気味な西洋館。さまざまな動物たちに餌付けする怪しい老人。 老人は大量の魚を湖に放ち、ジラースと叫んだ。湖が波立ち咆哮が聞こえる…

北山湖。山奥の静かな湖である。 以前は訪れる人さえいなかったが、いつの頃からか魚が異常繁殖し、最近では噂を聞いてやってきた多くの釣り人たちで賑わうようになっていた。 湖に異変が起きていないか科学特捜隊へ調査が依頼され、ハヤタ、アラシ、イデの3名が直ちに北山湖へと飛んだ。

ジェット・ビートルが北山湖に到達すると、アラシが乗った特殊潜水艇S21を切り離した。 音波探知機、水中カメラなどを使った水中調査が行われたが、湖底に何の異常も認められなかった。
調査を終えた3人に1日だけの特別休暇が言い渡された。ムラマツキャップの粋な計らいだ。

湖から姿を現した恐竜

湖から姿を現した恐竜

北山湖に近いホテルで3人がくつろいている頃、雑誌『少年グラフ』の久保友子記者と林カメラマンは"モンスター博士"の異名を持つ中村博士の屋敷へと向かっていた。
中村博士は灰色の長髪と顎鬚、鋭い眼光を持つ人間嫌いの老科学者だった。 博士の屋敷で恐竜の話や恐竜を求めて15年前ネス湖で行方不明になった二階堂教授の話などを聞くことができた2人だったが、ライター型の隠しカメラを見抜かれ追い帰されてしまう。

モンスター博士の取材に失敗した久保記者は、気晴らしにホテルで知り合ったイデ隊員と2人で噂の北山湖へ夜釣りとしゃれこんだ。
湖に着くと湖面が怪しく光り波打ちはじめ、何かの咆哮が聞こえた。そして湖にはゴムボートを漕ぐ挙動不審の男が…。 怪しい男はモンスター博士である。

雑木林の秘密の入り口に入った博士を追う2人、洞窟のような通路を抜けると動物の剥製や気味の悪い恐竜の壁画が描かれた怪しい部屋が現れる。 久保記者には見覚えがある所であった。間違いなく昼間訪れた中村博士の研究室だ。
その時、暗闇から突然銃を持った博士が姿を現した! 二人の追跡はすでに勘ずかれていたのだ。
博士は隠し窓を開いて叫んだ。 「ジラース! ジラース! さあ出てきて顔をお見せしろ!」 大きな叫び声と共に、湖の中から巨大な恐竜が出現した。 「わしが15年もかけて育てたジラースだ!」 博士はイデのトランシーバーを壊すと、2人を研究室に閉じ込めてしまった。

恐竜は博士が育てたジラースだった

正体は博士が育てたジラースだった

翌日、イデと久保記者の行方不明の知らせを受けたムラマツ、フジがビートルで北山湖に向かった。
その頃、心無い釣り人が魚を大量に獲ろうと湖にカーバイトをまいていると、湖から恐竜が出現、到着したムラマツらもその姿を確認する。

ジラースを攻撃する科学特捜隊の前に中村博士が狂ったように立ち塞がった。 「あなたは間違っている!」 誇らしげに恐竜を自慢する博士に対しムラマツは叫んだ。 次の瞬間、博士は自分の顔の皮をめくりあげた!
「あっ、あなたは二階堂教授! 15年前ネス湖で行方不明になっていた二階堂教授!」 それは誰からも認められずに恐竜だけを探し求め続けていた二階堂教授であった。 教授は陸上に上がってくるジラースに歩み寄るが、既に本能だけで暴れまくるジラースに吹き飛ばされてしまった。

一方、博士の研究室に監禁されているイデは何とかトランシーバーを修理した。 スパイダーで対応するアラシを残し、イデたちの救出に向かったムラマツら一行。 ハヤタは1人、林の影でベータカプセルを高々に掲げた。 フラッシュ・ビームの渦の中で、ハヤタはウルトラマンに変身する。

襟巻を持つウルトラマン

襟巻を持つウルトラマン

宙に投げた岩石を口から吐く白熱光で仕留めるジラースに対し、スペシューム光線で仕留めるウルトラマン。 激闘が始まる。
襟巻を剥ぎ取られ突進するジラースを、闘牛のようにあしらうウルトラマン。 すれ違いざまのチョップ一閃、ついにジラースは崩れるようにその場に倒れこんだ。
絶命したジラースに襟巻をかけると、ウルトラマンは空の彼方へと飛び去った。

「ジラース! ジラース!」地面を這いずる瀕死の二階堂教授はジラースの骸を前に叫び続けた。

解説

脚本は娯楽性に定評がある金城哲夫。 監督は64年に円谷プロダクションへ入社した満田かずほ。撮影当時は満田は30歳。 金城と満田のコンビは、のちに傑作『小さな英雄』(第37話)を制作する。

本編に登場するジラースは、東映の大人気怪獣ゴジラに襟巻を付けたもので、当時もゴジラとウルトラマンの対決が話題になった。 対決シーンではジラースが襟巻を剥ぎ取られ、ゴジラ対ウルトラマンを演出している。 また、ジラースのスーツアクターは、当時のゴジラ(『怪獣大戦争』『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』)を演じていた中島春雄が起用されている。

怪獣データ

ジラース

ジラース

英名:JIRASS
別名:えりまき恐竜
身長:45m
体重:2万t
出身地:ネス湖
攻撃:口から吐く破壊熱線
アクター:中島 春雄
デザイン:成田 亨
造形:長い尾を持つ2足歩行の恐竜型。

特徴: 二階堂教授がネス湖で見つけた卵を持ち帰り、北山湖で密かに育てていた恐竜。
首の周りにエリマキのような巨大なヒレを持つ。

コメント: 着ぐるみは東宝映画の超人気怪獣ゴジラにエリマキを付けたもの。
対決シーンは明らかにゴジラvsウルトラマンを意識したものだ。

豆知識

本編ではウルトラマンのスーツアクターである古谷敏がホテルのボーイ役で出演している。 また、技術監督の高野宏一が北山湖の釣り人役として登場している。

ジラース(ゴジラ) vs ウルトラマン

ジラース(ゴジラ) vs ウルトラマン
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