ウルトラマン

第11話

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心に思うものに姿を変える不思議な石。それが悪人の手に渡ると…

脚本

宮田 達男

監督

満田 かずほ

技術監督

高野 宏一

放送日

昭和41年9月25日

視聴率

30.1%

ナレーター

石坂 浩二

ロケ地

東京都渋谷公会堂

東京都八王子セミナーハウス

神奈川県長沢浄水場

神奈川県JR川崎貨物駅周辺

静岡県下田温泉ホテル

登場怪獣

ギャンゴ

キャスト

ムラマツ隊長

小林 昭二

ハヤタ隊員

黒部 進

アラシ隊員

石井 伊吉

イデ隊員

二瓶 正也

フジ・アキコ隊員

桜井 浩子

ホシノ・イサム少年

津沢 彰秀

山本博士

浅香 春彦

記者

青島 幸男

花嫁

若山 真樹

鬼田

山本 廉

子供たち

劇団ひまわり

制作№

10

ストーリー

子供たちは不思議な石を発見

不思議な石を発見

近くの空き地で近所の友達と馬乗りで遊ぶホシノ君。
「あっ」「空飛ぶ円盤かしら?」 子供たちは空から不思議な光が落下してきたのを目撃、落下地点は空き地のすぐ近くのようだ。 UFO探しを始める子供たち。するとホシノ君が野球のボール程の大きさの奇妙に輝く石を発見した。
友達が「こんなのただの石ころだよ。ビー玉の方がよっぽどいいや」そういって石を放り投げた次の瞬間、石はビー玉に変わった!
次にホシノ君が「レーシングカーに変わったらいいのに」と言って石を放り投げるとおもちゃのレーシングカーが現れるではないか!?
少年たちの目の前で、石は大きなケーキ、真っ白なピアノへと次々に変化してみせた。
なんとその奇妙な石は心に思うものに姿を変える事が出来たのであった。
その様子を見ている怪しい男の影が…

石は科学特捜隊に調べてもらう事になり、さらに科学センターの山本博士の下で徹底的に分析された。

数日後、分析の結果を発表する記者会見が行われた。
「少年たちが発見したこの石は、未だ地球上では発見されたことのない未知の元素の化合物で出来ている事がわかりました。 しかも人が思うものに変化するという生物の能力を持った鉱物です」
博士の話に驚きを隠せない記者たち。 1人の記者が試す事になった。
記者は石の2メートル以内に近づき「毎日ほしいと思っている事」というと、会場には「お嫁さん」が現れた。 人間のテレパシーを感じてどんなものにも姿を変えるという“生きた鉱物!”は使い方を誤るととても危険だと博士は警告した。

鬼田が企てるものは?

鬼田が企てるものは?

会見が終わりゾロゾロと帰っていく記者たちの中に、一人挙動不審の男が机の下にトランシーバーを取り付けていた。 男は会見場を後にすると車の中からトランシーバ越しで石に話しかけた。 「液体になれ」さらにロケットへと変化させてまんまと石を奪い取ってしまったのだ。
警備についていたアラシが車を追うものの、遂に逃げられてしまう。 男 - 鬼田は、子供たちが空き地で石を見つけた時から、このチャンスを狙っていたのだった。

彼は石を使って一体何を企んでいるのか?
石が悪事に使われる事を恐れて捜査を開始した科学特捜隊の心配をよそに、鬼田はとあるホテルに乗り込み「怪物になるんだ」と石に話しかけた。 石は人間大の怪獣ギャンゴに変わり、鬼田は大人げないいたずらにふけっていた。

ホテルから巨大なギャンゴ出現

巨大なギャンゴ出現

いたずらはどんどんエスカレート。 「石よ、今度はもっと大きなギャンゴになれ!」 次の瞬間、ホテルを突き破り50メートルもの巨大なギャンゴが出現する!!

科学特捜隊が倒壊したホテルに着くと、瓦礫の下で意識不明の鬼田を発見する。
アラシは石を盗んだ男だと確認。 「これは大変な事になってしまったぞ。この男が気を失ったとたんこの男の悪い心が怪物に乗り移ってしまったに違いない」 鬼田が意識を取り戻して怪物の事を忘れない限り、怪物は消えない…!?

ハヤタの懸念は的中。ギャンゴは鬼田の悪心により暴れ始めた。 ビルを破壊するギャンゴに空からハヤタのビートル、地上から防衛隊の熱戦砲で攻撃するが、さらに狂暴化するだけだった。
ビートルはギャンゴのずるがしこい攻撃で撃墜され、海に叩き落されてしまった。水中でもがきながらハヤタはベータカプセルを点火!

ウルトラマン登場!

ウルトラマン登場!

ウルトラマンがギャンゴに立ち向かう。
闘いは長期戦となり、カラータイマーが赤く点滅をはじめた。 両者決め手が無い中、ギャンゴが大きなビルの一部を投げつけようと持ち上げた。次の瞬間、突如姿を消すギャンゴ。音をたてて落下するビルの瓦礫。
病院に収容されていた鬼田が意識を取り戻し、ギャンゴが石に戻ったのだった。

後日、このやっかいな“宇宙からの贈り物”はウルトラマンの手で宇宙に帰され、ギャンゴ騒動は幕を閉じた。 「我々人類は、あの石を扱うにはまだまだ早すぎたのだ…」

解説

監督は前作と同様、満田かずほ。 脚本は60年代に活躍した脚本家の宮田達男。円谷プロダクションとは接点が無い宮田を起用した理由は不明だが、あらゆる可能性を模索していたのかもしれない。

全編コメディ・タッチで描かれた本作、シリーズでも異色の作品である。ギャンゴとウルトラマンの対決シーンも滑稽な描写だ。

後に東京都知事となる青島幸男氏がコミカルな記者役で登場するのも面白い。

ウルトラマンや科学特捜隊が怪獣を倒さない(自然消滅!?)、初めてのエピソードである。

怪獣データ

ギャンゴ

ギャンゴ

英名:GANGO
別名:脳波怪獣
身長:2.2m~50m
体重:60k~6万t
出身地:宇宙
攻撃:口から吐く破壊熱線
アクター:荒垣 輝雄
デザイン:成田 亨
造形:頭部にアンテナを持つ、2足歩行の恐竜型。
首から腹にトーテムポールのようなカラフルな模様がある。

特徴: 人の思念を具現化する宇宙鉱石が怪獣化したもの。
人間と同じサイズであったが巨大化した。

コメント: 着ぐるみは第1話『ウルトラ作戦第一号』に登場したベムラーを改造したもの。
頭のアンテナや磁石のような腕、ベムラーに比べ随分ユーモラスな容姿である。

豆知識

劇中、子供たちの中に『恐怖の宇宙線』(15話)のムシバ役、『禁じられた言葉』(33話)のサトル役の子役(川田勝明)が出演している。

ギャンゴ vs ウルトラマン

ギャンゴ vs ウルトラマン

対決シーンもどことなくユーモラスだ

ギャンゴ vs ウルトラマン
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