基本データ
脚本
金城 哲夫
監督
満田 かずほ
技術監督
有川 貞昌
放送日
昭和42年3月26日
視聴率
42.8%
ナレーター
浦野 光
ロケ地
東京都銀座松屋
神奈川県三浦半島剣崎
登場怪獣
ジェロニモン
ピグモン(再生)
テレスドン(再生)
ドラコ(再生)
キャスト
ムラマツ隊長
小林 昭二
ハヤタ隊員
黒部 進
アラシ隊員
石井 伊吉
イデ隊員
二瓶 正也
フジ・アキコ隊員
桜井 浩子
権田博士
浅野 進治郎
デパート支配人
金井 大
警官
鈴木 和夫
中山 豊
母親
毛利 幸子
娘
近藤 美智子
店員
佐竹 弘行
佐渡 絹代
制作№
37
ストーリー
ある日、銀座の真ん中にあるデパートに突然ピグモンが現れ、売り場は大混乱になった。
駆けつけた2人の警官は持て余し、科学特捜隊に引き取ってもらう事に。
隊員たちが到着すると、疲れ果てたのかピグモンはぐっすり眠っている。目を醒ますと落ち着きなく鳴き声をあげるばかりだった。
「あの時のピグモンだわ」フジが懐かしそうに近づくが、何かピグモンの様子がおかしい。
ハヤタはピグモンが何か言いたい事があるように感じた。
アラシの提案で、イルカの言葉の研究で有名な東西大学の権田博士にピグモンの言葉を分析してもらう事になった。
「これは間違いなく言葉です」周期的に同じ音を繰り返すピグモンの鳴き声の音声波長モニターを見ながら権田博士が言った。 こうしてピグモンはイルカ博士の元に預けられ分析が開始された。だがさすがのイルカ博士も怪獣語の分析には手を焼くことになる。
「おい、イデ! 何だいこれは!」スパイダーとマルス133を持ったアラシが憤慨しながらイデの元にやって来た。
「ごめん、忘れてたんだ」3日前から修理を頼んでおいたのに何も手をつけていなかったイデに対し、アラシの怒りは収まらない。
フジは怪獣翻訳機の取り組みで毎日徹夜だったイデをかばうが、「すまん、すぐに修理するよ」と言うイデは元気の無い様子。
そこにムラマツとハヤタが入ってきた。権田博士は明日にでもピグモンの言葉が解明できそうだという。
「イデ、翻訳機は完成したろうな」ハヤタが尋ねた。
「それがまだなんだ」
どうしたというのだろう、いつものイデらしくない。
イデは今夜中に仕上げると言い指令室を出て行った。
苦悩するイデを気遣うハヤタ

その夜、一人翻訳機を作成しているイデにコーヒーを入れるハヤタ。
元気の無いイデが急に振り返り話し出した。
「ハヤタ、君は何も感じないか? 仕事の事さ。我々科学特捜隊がどんなに頑張っても、結局敵を倒すのはいつもウルトラマンだ。
僕がどんな新兵器を作っても大抵役に立たんじゃないか。いや、新兵器だけじゃない。我々科学特捜隊もウルトラマンさえ居れば必要ないような気がするんだ」
スーパーガンやスパイダーショット、マルス133が敵を倒した事、科特隊がウルトラマンを助けた事、イデの話に反論するハヤタ。
「アントラーに青い石を投げなかったらウルトラマンはアントラーの犠牲になっていたかも知れない。
ケムラーと闘った時だって、マッドバズーカを撃ち込まなかったらウルトラマンは亜硫酸ガスでやられていたかもしれない。持ちつ持たれつだよ」
「そうだろうか? 僕はウルトラマンさえ居れば十分だと思うんだ」
思いつめたような表情のイデ。ハヤタは言葉を失った。
その頃、権田博士の研究室でピグモンが激しく騒ぎ出した!
三日月が輝く夜の大岩山、そこに現れたのはドラコとテレスドン!! 2頭はゆっくりと立ち上がると闘い始めた。
翌日、権田博士がピグモンを連れて科特隊本部にやってきた。
電子頭脳には既に博士が解読した怪獣語のアルファベットを記憶させている。
早速ピグモンの声を怪獣翻訳機に通す事に。
「科学特捜隊トウルトラマンニ倒サレタ怪獣タチガジェロニモンノ力デ命ヲ復活シテ、科学特捜隊ニ復讐スルタメ総攻撃ヲカケル。
アト5時間デ世界各地カラ60匹以上ノ怪獣ガ日本ニ集結スル。今ノウチニ早クジェロニモンヲ倒セ。ジェロニモンハ怪獣ノ酋長ダ。超能力ヲ持ッテイル。注意セヨ」
すると怪獣どもはジェロニモンの超能力で命を吹き返すというのか!?
「でもその中のピグモンが人類の味方だってことはさすがのジェロニモンも気が付かなかったのね」
ジェロニモンは一体何処にいるのだろう? どうやらピグモンが案内してくれるらしい。
イデを救うためピグモンが犠牲に

こうして怪獣たちの恐るべき計画を察知した科特隊はピグモンの案内で一路怪獣集結の場所へ向かった。
ピグモンが示す大岩山に到着したジェットビートルはドラコとテレスドンを発見した。もう集まっているのか!?
ビートルにピグモンを残し2班に分かれて闘う事になった。
アラシ、フジ、ムラマツはスーパガンのトリプルショットでテレスドンを倒す事に成功した。
一方、ドラコと対峙するハヤタとイデ。「ウルトラマンが今に来るさ」集中力を欠いたイデは空を見上げながら呟いた。
ハヤタのマルス133がドラコに命中するが怒ったドラコが接近した。
一瞬ベータカプセルを取り出したがウルトラマンに助けを求めるイデを見て、ハヤタは変身をためらった。
ドラコはイデに襲い掛かった。このままではイデが危険だ。と瞬間、ピグモンが助けに入った!!
必死でドラコを威嚇するピグモンだったが、逃げ場を失いドラコに叩き潰されてしまった!!
ハヤタらが駆けつけるがピグモンは目を閉じ絶命してしまう。
「ピグモンでさえ命を投げ出して戦ってくれたんだぞ。科特隊の一員としてお前は恥ずかしくないのか!!」怒りを露わにしたハヤタの鉄拳がイデの頬を貫いた。
「僕が間違っていた、くそっ」そう言うとイデは新兵器スパーク8を装着しドラコに発射、ドラコの体は砕け散った!
ジェロニモンvsウルトラマン

地響きと共に岩山からジェロニモンが現れた。ジェロニモンの口から吐く無重力ガスによって吹き飛ばされたムラマツ、アラシ、フジ。
ハヤタはフラッシュビームを点火した。
ウルトラマンは上空高く飛ばされた3人を救出すると、ジェロニモンに立ち向かった。
ジェロニモンの尻尾から飛ばされる猛毒の羽飾り。胸に突き刺され苦しむウルトラマン。
なおも容赦なく襲いかかる無数の羽飾りになんとかスペシューム光線で応戦する。
カラータイマーが激しく点滅する中、無重力ガスをバリヤーで跳ね返しジェロニモンを両腕高く持ち上げたウルトラマンはイデを見つめた。
狙いを定めるイデが撃ったスパーク8は見事ジェロニモンを粉砕!
「やったー、ジェロニモンは俺がやったぞー!!」
ウルトラマンは小さくうなずくとその場から去っていった。
"今日の英雄"とイデを称える隊員たち。
「英雄ならここにもいるぜ」ピグモンの亡骸を抱えるハヤタ。
「我々科学特捜隊はピグモンに対し、人類の平和に尽くしたその功績を認めて科学特捜隊特別隊員の称号を与える。黙祷!」
隊員たちは怪獣総攻撃を未然に防いだ小さな英雄に祈りを捧げるのだった。
デパートにピグモンが現れた!?