ウルトラマン

第16話

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再び侵略を目論むバルタン星人の復讐が始まった!?

脚本

千束 北男

監督

飯島 敏宏

技術監督

高野 宏一

放送日

昭和41年10月30日

視聴率

38.9%

ナレーター

石坂 浩二

ロケ地

東京都羽田空港

神奈川県三浦半島剣崎

登場怪獣

バルタン星人 2代目

キャスト

ムラマツ隊長

小林 昭二

ハヤタ隊員

黒部 進

アラシ隊員

石井 伊吉

イデ隊員

二瓶 正也

フジ・アキコ隊員

桜井 浩子

岩本博士

平田 昭彦

毛利博士

池田 忠夫

制作№

17

ストーリー

人類初の金星探検を目指して、宇宙ロケット「おおとり」の発射準備が進められていた。 操縦者はロケットの開発者で宇宙開発研究所の毛利博士自身である。 科学特捜隊は万一の事故に備え、救助体制を取っていた。 それは「おおとり」の第2段ロケットの発火装置に疑問があるという噂があったためだった。

多くのマスコミが見守る中、「おおとり」は発射、無事に2段ロケットも切り離され、ビートルに見送られ宇宙へ飛び立っていった。 「おおとり」の打ち上げ成功で安堵していた科特隊本部に、ホシノ少年が泣きながらやってきた。 岩本博士の「フェニックス号」が「オオトリ」に負けた事が悔しいらしい。 「フェニックス号」と「おおとり」は性能面では互角と言われていたが、岩本博士はテスト回数が不足だったため延期したという。テスト不足は「おおとり」も同じだった。
「成功率99%のロケットに自分で乗りこんで宇宙へ飛び出した毛利博士と、例え競争に負けたと言われても100%完全なロケットを作り出すまでじっと我慢している岩本博士と、科学者としてはたしてどちらが勇気のある正しい生き方だろうね」ムラマツキャップの言葉にホシノ君も納得したのである。

モニターに映し出されたものは!?

モニターに映し出されたものは!?

その頃「おおとり」は軌道に乗り、金星への飛行を順調に続けていた。 スーツ姿でくつろぐ船内の毛利博士がモニターに送られていると、突如映像が乱れ始めた。 おかしな通信を感知したフジ隊員に「パン・スペース・インタープリタ(全宇宙後翻訳機)につないでくれ」とイデが言う。 フジが回路をつなぐと、モニターにはあのバルタン星人が映し出されるではないか!?
「我々ハ、ウルトラマンニ宇宙船ヲ爆破サレ、ソノウエ光波バリヤーヲ張リ巡ラス暇モナク、スペシューム光線ヲ浴セラレタタメニ殆ド全滅シテシマッタ」 R惑星に漂着したバルタン星人は飽くまで地球を手に入れるべく全人類に挑戦してきたのだ!
「光波バリヤー!?彼らはそんなものまで作れる生物なのか!?」ハヤタの顔色が変わった。

一方、宇宙では「おおとり」と同じ軌道に乗った青く光る球体がロケットとドッキングしてしまった。 「おおとり」からSOS信号が発信された。 27万メートル上空まで救助に行けるのは「フェニックス号」しかないが、もし「おおとり」の異変がバルタン星人の仕業であれば、丸腰の「フェニックス号」では戦えない。 岩本博士はビートルにロケットエンジンを装備する事を進言した。 そして、ビートルは大気圏外でも十分活動できるよう水爆の原理を応用したハイドロジェネレートロケットエンジンを装着し、ムラマツ、ハヤタ、アラシを乗せ「おおとり」の救助に出発した。

博士に乗り移ったバルタン星人

博士に乗り移ったバルタン星人

「おおとり」船内に乗り込んだバルタン星人は、重力を自在に操り、毛利博士を苦しめていた。 「オ前ノ体ニ乗リ移ル」テレパシーで話しかけながら、バルタン星人はそのまま博士に乗り移ってしまった!
科学特捜隊が救援に向かうとの連絡を受けた毛利博士はニヤリと笑った。 すると博士の目の前に1体のバルタン星人が現れた。 「さあ、宇宙船とみんなを指揮して地球へ出発だ!」博士がバルタンに命じる。

バルタンが「おおとり」を襲った目的はここにあった。つまり「おおとり」を救助する科学特捜隊の留守を狙って別の一隊が地球を占領しようというのである。 バルタンの狙いはもう一つ。 「ウルトラマンが一人だという事さ。だから同時に2か所で戦闘を開始すれば手も足も出まい。スペシューム光線を撃ってきたら今度はスペルゲン反射鏡の餌食にしてしまえ!!」 船内のバルタン星人は消え、「おおとり」から離れた青い球体が地球へ襲来する。

巨大なバルタン星人出現!

巨大なバルタン星人出現!

地球ではイデがビートルで待ち構えていたが、球体から数十匹の人間大のバルタン星人の軍団が出現し、あっという間にビートルを取り囲んでしまう。 フジからイデ苦戦を伝えられたムラマツらはこの時初めてバルタンに裏をかかれた事に気が付いた。
「おおとり」から救出された博士だったが、機内で突然不敵に笑い出した。するとビートルは操縦不能に陥り、そのまま近くの惑星に不時着してしまった!
意識を取り戻した隊員たち。1人機外にいる毛利博士が岩陰に消えた次の瞬間、閃光と共に巨大なバルタン星人が現れた!
バルタン星人のハサミから発せられる重力嵐で揺らぐビートル!! この絶体絶命の危機に、ハヤタはベータカプセルを点火した!

ウルトラマンはスペシューム光線を放つが、バルタン星人は胸の反射鏡で跳ね返す。 重力嵐で攻撃するバルタン星人が襲い掛かった次の瞬間、ウルトラマンはリング状の光を放った! 八つ裂き光輪だ! 真っ二つに裂かれたバルタン星人!
バルタン星人を倒したが、ビートルは飛行不能になっていた。 地球では数百匹ものバルタン星人が、街を破壊していた。そしてバルタン星人の大群が1つに集まり、巨大なバルタン星人へと変貌する。地球のピンチだ!!

八つ裂き光輪で真っ二つ

八つ裂き光輪で真っ二つ

ウルトラマンはテレポーテーションを使い、地球への瞬間移動を行った。これは彼の寿命を縮めてしまう禁じ手である。 バルタン星人の前に現れたウルトラマンは八つ裂き光輪を放つが、光波バリヤーで跳ね返えされる。 ウルトラ眼光で光波バリヤーを解除すると、八つ裂き光輪でバルタン星人を真っ二つ。ウルトラマンの勝利だ!

不時着したビートルの中では力を使い果たし眠るハヤタを見守るムラマツとアラシ。 地球に戻れないと諦めていた時、岩本博士の「フェニックス号」が救援に来たのであった。

解説

監督の飯島敏宏が再び千束北男のペンネームで脚本を務めるのは『侵略者を撃て』(2話)以来2度目。 飯島は再びバルタン星人を登場させた。バルタン星人の生みの親たる由縁である。

テレポーテーション

数あるストーリーの中でも最大級の危機を迎えたエピソード。特にビートルが惑星に不時着しバルタン星人に襲われた時などは絶体絶命であった。 緻密なプロット、スピーディーな展開、娯楽性も兼ね備えた傑作である。

見どころはウルトラマンとバルタン星人の目まぐるしい攻防! スペシューム光線を跳ね返すバルタン星人、すかさず新しい技八つ裂き光輪でバルタンを撃退、テレポーテーションを使って遠い惑星から地球へ瞬間移動!!、八つ裂き光輪を跳ね返すバルタンの光波バリヤー、そしてバリヤーを解除するウルトラ眼光、と怒涛の如く展開される闘いはシリーズ屈指の名勝負だ!!

怪獣データ

バルタン星人(2代目)

バルタン星人2代目

英名:Alien BALTANⅡ
別名:宇宙忍者
身長:ミクロ~50m
体重:0~1万5千t
出身地:バルタン星
攻撃:重力嵐、スペルゲン反射板
弱点:スペシウム
アクター:飛鋪 正直
デザイン:成田 亨
造形:両腕が大きなハサミ、セミに似た頭部を持つ直立2足歩行の人型。

特徴: R惑星に逃げたバルタン星人の生き残り。
スペシウム光線から防御するため、スペルゲン反射板を装着。 ウルトラマンと科学特捜隊を宇宙に分断し、悲願である地球侵略を目論む。

コメント: 初代と比べると全体にスリム、頭部も鋭角的で黒っぽい体色になった。

新技、八つ裂き光輪!!

新技、八つ裂き光輪!!

ウルトラ眼光!!

ウルトラ眼光!!
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