ウルトラマン

第35話

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怪獣たちの安住の地「怪獣墓場」からやってきた1匹…

脚本

佐々木 守

監督

実相寺 昭雄

技術監督

高野 宏一

放送日

昭和42年3月12日

視聴率

37.2%

ナレーター

浦野 光

ロケ地

東京都TBS会館

東京都谷町JCT

登場怪獣

シーボーズ

キャスト

ムラマツ隊長

小林 昭二

ハヤタ隊員

黒部 進

アラシ隊員

石井 伊吉

イデ隊員

二瓶 正也

フジ・アキコ隊員

桜井 浩子

ロケットセンター所長

永井 秀明

ロケットセンター所員

奥野 匡

斉藤 三勇

田村 奈巳

住職

中野 稔

僧侶

石川 隆昭

制作№

35

ストーリー

その日も科学特捜隊による宇宙パトロールを行っていた。
そこは地上4万メートルのウルトラゾーン。
「おい、あれを見ろ!」 ジェットビートルに乗るアラシとイデは、ケムラー、アントラー、ネロンガなど、かつてウルトラマンと科学特捜隊によって倒された怪獣たちが宇宙空間に漂う様子を目の当たりにする!?
「まるで怪獣墓場だな」 それら無言で佇む怪獣たちの姿を見ると少し可哀そうに感じるイデであった。
そこには今まで見たこともない怪獣の姿もあった。きっとよその星から追放された怪獣なのだろう。

怪獣たちの遺影

怪獣たちの遺影

本部の作戦室に帰還した2人。
「考えてみれば可哀そうね。姿かたちが私たちと違い、力がありすぎるというだけで宇宙に追放されてしまったのだから」フジが呟くと 「やつらはウルトラマンに力いっぱい放り出されて、無重力地帯で永久に宇宙の孤児となっているんですよ」とアラシが説明した。
神妙な面持ちで一点を見つめ続けるハヤタ。
「怪獣供養をやってみませんか?」イデの提案をみなが同意する中、ハヤタは無言のまま作戦室を飛び出してしまった。

科特隊本部の屋上、一人立ち尽くすハヤタの姿があった。
「許してくれ。地球の平和の為、やむなくお前たちと闘ったのだ」 次の瞬間、閃光と共に現れたウルトラマン。じっと空を見上げる姿は、怪獣たちに対し詫びているかのようだ。

翌日、科特隊本部では怪獣供養が仏式で行われたのである。 怪獣たちの遺影を前に隊員たちは心から怪獣たちの冥福を祈った。そして苦しかった闘いの数々を1つ1つ思い浮かべていたのだった。

ロケットに乗ってきた怪獣!

ロケットに乗ってきた怪獣!

その頃、月ロケットセンターから日本初の月ロケットが打ち上げられようとしていた。 ロケットは無事発射され順調に大気圏外へ出るが、突如異常を検知した。
同時刻、宇宙研究所のパラボラアンテナは奇妙な物体が宇宙から落下してくる事実を捉えた。 墓場から蘇った怪獣、それはまさしく怪獣の亡霊だった。

厳かな雰囲気で怪獣供養中の本部指令室に通報が入った。 「なんですって! キャップ、またまた怪獣が現れました!」

出動したビートルが怪獣に攻撃を開始する。 悲しそうな鳴き声を上げながら、怪獣は日本初の高層ビルに登り始めた。 ビルの屋上に上がった怪獣は悲しげな咆哮を発し続けるだけだった。 怪獣は宇宙へ帰りたいのだ。
次の瞬間、怪獣がビルから飛び出した!?
ものすごい地響きと共に地面に落下。 「バッカヤロウ!飛べもしねぇくせに」

夕焼けの中、科特隊の猛攻撃を受けた怪獣は天に向かって鳴き声を上げるばかりである。 ハヤタの提案で月ロケットセンターに相談する事となった。

夕暮れに佇むシーボーズ

夕暮れに佇むシーボーズ

「こうなったのもたとえ偶然とはいえ、私たちの責任だ。月ロケット2号を使用しよう」 センター所長は怪獣シーボーズ輸送のためのロケット提供を快諾し、直ちに準備が進められる事になった。

「ヤツは喜んでいるんだ。夜になりあの怪獣墓場に居るようなつもりなんだ」イデは夜中に佇むシーボーズを見ながら呟いた。 「だけど真っ暗な墓場に帰りたいだなんて、信じられないな」と言うアラシに対し、フジは 「違うわ。怪獣墓場だけが静かに居られる場所なんだわ。どの星へ行っても地球と同じように攻撃されるに違いないわ。だから怪獣たちが心から落ち着いていられる場所は墓場だけに違いない」
シーボーズの悲しい鳴き声が夜の闇にこだまする。

翌日、2機のビートルがシーボーズの腕にワイヤーを打ち込み、発射台のロケットまで誘導した。 なんとかロケットに縛りつけるが発射準備中、暴れだしたシーボーズはロケットを破壊してしまった。
ハヤタは月ロケットセンターを飛び出した。 シーボーズの前に立ちはだかるウルトラマン。
ウルトラマンはようやく観念したシーボーズを両腕で持ち上げると、そのまま空へ飛び去った。 すべてが終わったかに思えたが、格闘時間が長すぎたためにウルトラマンのエネルギーは残り少なくなっていた。
そして再び地上へ落下したシーボーズ。

万策尽きた隊員たちだったが、ハヤタがウルトラマンに模したロケットを作る事を提案した。 「ヤツはウルトラマンが宇宙へ連れて行こうとした事を知ってます」 早速、月ロケットセンター所長に壊れたロケットの修理を依頼する事になった。

シーボーズを乗せロケット発射

シーボーズを乗せたロケットが発射

翌日、急ピッチで行われたウルトラマンロケットの修理が完了する。 嫌がるシーボーズはウルトラマンに促され、ウルトラマンロケットに乗せられた。
シーボーズを乗せたロケットはなんとか発射され、ウルトラマンが並走する中、宇宙へと飛び立っていった。

闘いは終わり、科学特捜隊がパトロールに明け、パトロールに暮れる退屈で平和な毎日が戻った。
怪獣墓場。どこへ行っても嫌われる怪獣たちにとって、平和で静かな毎日は墓場にしかないのだろうか。 怪獣墓場。それは広大な宇宙の中の奇妙なる伝説の1つではないだろうか。

解説

脚本と監督は前作と同様、佐々木守と実相寺昭雄のコンビ。 地球の平和を守る科学特捜隊とウルトラマンの大義名分について、矛盾を突いた問題作である。 どの世界でも排除される怪獣に視点を置きつつ、コミカルに風刺した傑作。

劇中、シーボーズがよじ登った日本初の高層ビルは、147mの高さを誇る“霞が関ビルディング”である。当時まだ建設中で、この放送の約1年後にオープンしている。

イデやフジたちが怪獣の不憫さを話す中、いたたまれなくなったハヤタが屋上に上がりウルトラマンに変身するが、事件も怪獣も現れていない中でウルトラマンが登場するのはシリーズ中唯一の事。

科特隊作戦室で行われた怪獣供養では、ゴモラ、ガマクジラ、アボラス、ガヴァドンB、レッドキング2代目の遺影が登場する。 その怪獣供養中に闘いの回想シーンとして、ゴモラ、ゴルドン、ガマクジラ、ギガス、ケムラー、ジャミラとの闘いの映像が使われている。
また、宇宙に漂う怪獣たちの姿は人形を使ったものだが、エンディングで一瞬登場するピグモンとテレスドンは次々回『小さな英雄』で登場予定の着ぐるみを使用している。

こぼれ話

小生が小学校1年生の頃、この放送を見ていてシーボーズの鳴き声が悲しかった記憶がある。その日、いとこの家に遊びに行っていて、「何泣いてんて!」美子おばさんに驚かれた事を思い出す(笑)

怪獣データ

シーボーズ

シーボーズ

英名:SEABOZU
別名:亡霊怪獣
身長:40m
体重:3万t
出身地:怪獣墓場
攻撃:
アクター:鈴木 邦夫
デザイン:成田 亨
造形:短い尾を持つ直立2足歩行の恐竜型。
全身骨だけのような外見。

特徴: 怪獣墓場に漂っていたが、日本初の月ロケットに乗って地球にやってきた。

長すぎたシーボーズとの闘い

シーボーズとの闘い

安住の地「怪獣墓場」に戻ったシーボーズ

安住の地「怪獣墓場」に戻ったシーボーズ
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