サマー・イン・パラダイス
Summer In Paradaise


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92年6月に自主制作としてブラザー・レーベルより発表されたビーチ・ボーイズのアルバム。
ブライアン・ウィルソンは参加していない。



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プロデュース:テリー・メルチャー

Brother Entertainment Revel 1992.6.1


ヒストリー

ブライアンは臨床心理医のユージン・ランディと共同で2作目のソロ・アルバム制作に追われていた。 当時の彼はグループや家族と断絶状態になっていたが、これはランディ医師による巧みな企てによるものだったのだ。 あいにくレコード会社との折り合いがつかず、『スウィート・インサニティ』と題されたアルバムは日の目を見る事はなかったが、ブライアンのセラピストへの依存性はますます高まっていくのである。

この状況を重く見た関係者、特に娘のカーニーとウェンディは父親を取り戻すべく、ランディへの訴えを起こすのだ。 この提訴は患者と医師の関係を大きく逸脱しているとして、92年にビーチ・ボーイズ側の勝訴で結審する。

一方、ランディ医師の呪縛から解放され、晴れて自由の身となったブライアンは、元妻のマリリンや2人の娘たちに逢えるようになり、メンバーらの思惑をよそに再びソロ活動に突き進んでいく。

そして、グループに再び試練の時が来る。

ブライアンの弟、ギタリストでリード・ボーカリストのカール・ウィルソンが98年2月に肺癌のために他界する。 グループのまとめ役、精神的支柱を失ったことでメンバーのアル・ジャーディンはグループを脱退、新たなグループ「ビーチ・ボーイズ・ファミリー&フレンズ」を結成する(2000年にマイクからの訴訟により「アラン・ジャーディンズ・ファミリー&フレンズ・サマー・バンド」と改名)。 弟の死の悲しみを乗り越えたブライアンもグループには戻らず、残ったマイクとブルースで"オリジナルの"ビーチ・ボーイズとしてライブ活動を続けることになるのだ。

ブライアンは95年に元モデルのメリンダ・レッドベターと再婚、生まれて初めて幸せな家庭を手に入れる。 さらに彼の音楽の良き理解者ダリアン・サハナジャとそのグループ、ワンダー・ミンツやギタリストのジェフリー・フォスケットらのサポートを得て、再び充実した音楽活動をスタートさせた。 彼の長く苦悩に満ちた心の旅が終わりを迎えるのだった。

だが、まだやるべき事がある。過去のトラウマと正面から向き合う事を決意するブライアンであった。人生を狂わした元凶に決着をつけるため。


アルバム解説

1992年6月1日に自主制作としてブラザー・レーベルより発表されたオリジナル・アルバム。

臨床心理医のユージン・ランディへの提訴が原告ビーチ・ボーイズ側の勝訴で結審した年、マイク・ラヴとテリー・メルチャーが中心となって制作された。 裁判に勝訴したものの、当時のブライアンはランディに洗脳されグループから距離を置いていたため、ブライアンはレコーディングには参加していない。

アルバムの内容はトロピカル風なアルバムジャケット同様に南国ムードを全面に出したものになった。 しかし「ココモ」路線を踏襲しようとするあまり、海・夏・自然のテーマはあからさまで、音楽性は乏しいものに。。。

アルバムはチャート・インせず、セールスもパッとしなかった。 グループはこの『サマー・イン・パラダイス』を最後に20年間新作を発表する事は無いのである。

小生の好き度

★ ★ ★ ★ ★

60年代後半に活躍したサンフランシスコの人種・性別混合ロックバンドのスライ&ザ・ファミリー・ストーンの69年のヒット曲のカバー。

リード・ボーカルはマイクとカール。92年7月に「サマー・オブ・ラヴ」とのカップリングでシングル・カットされ、アダルト・コンテンポラリー・チャートで17位を記録する。

オリジナルが持っていたソウルフルなムードが無くなってしまったが、ビーチ・ボーイズらしいコーラスも悪くない。 どことなく85年の「イッツ・ゲッティン・レイト」に似ているが。

作者:S.Stewart

リード:Mike


ファースト・アルバム『サーフィン・サファリ』収録の記念すべきデビュー曲のセルフ・カバー。リード・ボーカルはマイクとカール。

バスドラ、スネアが強調され、力強いギター・パートを加えたダンス・ミュージック風のアレンジは、あまり評判が良くなかった。

作者:B.Wilson - M.Love

リード:Mike, Carl


マイクとテリー・メルチャーが作ったビーチ・ボーイズ風のファンキー・ロック。ラップ調にもチャレンジしている。

リード・ボーカルはマイク。歌詞中にサーフィン・U.S.A.などが登場する彼らの歴史を振り返るような内容。

新しい一面を模索する努力は買うが、かなり無謀な試みであった。

作者:M.Love - T.Melcher

リード:Mike


トロピカルな雰囲気を持ったマイクとテリー・メルチャーのコンビによるラヴ・ソング。リード・ボーカルはマイクとカール。

南国の楽園についての内容を歌っており、メロディやアコーディオンの流麗なサウンドが「ココモ」を意識しているようで、やはり二番煎じの感は否めない。

93年にイギリスでリリースされた際、アレンジやリード・ボーカル(カール→アル)を差し替えて刷新されている。

作者:T.Melcher - M.Love

リード:Mike, Carl (→Alan)


マイクとテリー・メルチャーによる、スロー・バラード。リード・ボーカルはマイク。

「まだサーフィンをやっている」という昔を懐かしむような内容。コーラスも60年代のスタイルを強引に再現しているようで、無理やり感がある。 「スティル・クルージン」をアレンジし直したような印象を受け、マイクのイマジネーションの乏しさを露呈している。音はいいが…。

作者:M.Love - T.Melcher

リード:Mike


ブルース・ジョンストンの作った「スロー・サマー・ダンシン」という曲(フレーズ)と、黒人ドゥーワップ・グループのダンリアーズが61年にヒットさせた「ワン・サマー・ナイト」を組み入れたムーディーなラヴ・バラード。

リード・ボーカルは「スロー・サマー・ダンシン」の部分をブルース、「ワン・サマー・ナイト」の部分をアルが担当。なかなかロマンチックな仕上がりである。

作者:B.Johnston - D.Webb

リード:Bruce, Alan


テリー・メルチャーとマイク・ラヴ作のラヴ・ソング。

神を信じ、奇跡が起こることを信じるという歌詞は、いかにもTM信奉者のマイクらしい内容。歌詞にも登場するブラジルのリオ・デ・ジャネイロに捧げたエコロジー・ソングだそうだ。

リード・ボーカルはマイク。サビはアルが歌っているが、彼の溌剌としたボーカルは年齢を感じさせない素晴らしいものだ。

作者:T.Melcher - M.Love

リード:Mike, Alan


ジョージ・モートンが作った女性コーラス・グループのシャングリラズ64年のヒット曲。リード・ボーカルはカール・ウィルソン。

アレンジがオーバープロデュース気味で、オリジナルが持つシンプルでドラマチックな迫力が損なわれている。カールの熱唱は頑張っていると思うが。

作者:G.Morton

リード:Carl


テリー・メルチャーとマイクの共作による感傷的なメロディを持つラヴ・ソング。

画家のロバート・リン・ネルソンのスタジオにあった、ハワイのラハイナの絵をモチーフにした作品。ロバートはアルバム・ジャケットの絵も手がけている。

リード・ボーカルはマイクとカール。アコーディオンが南国の島をイメージさせ、「ココモ」を彷彿させるが、オリジナリティは十分ある佳曲である。

作者:T.Melcher - M.Love

リード:Mike, Carl


黒人ドゥーワップ・グループのドリフターズが64年にヒットさせた曲で、オリジナルはカリプソ風のラヴ・ソングであった。

リード・ボーカルはマイクとカール。この曲もオリジナルとはまったく違うアレンジが施され、結果的にあまり良くない出来栄えになってしまった(汗)。

93年に発売されたイギリス盤では、サビのフレーズをアルが歌ったバージョンに差し替えられている。

作者:M.Love - A.Resnick - K.Young

リード:Mike, Carl (→Alan)


マイクとテリー・メルチャーが作った傑作ラブ・ソング。

リード・ボーカルはマイク。楽園賛歌であるが、森林破壊や有害廃棄物への抗議が込められたエコロジー・ソングでもある。

この曲も93年にイギリスでリリースされた際に再ミキシングされ、元バーズのロジャー・マッギンによる12弦ギターをフューチャーした素晴らしいサウンドに生まれ変わっている。ロジャーはリード・ボーカルも担当。

作者:M.Love - T.Melcher - C.Fall

リード:Mike (, Roger McGuinn)


デニスとグレッグ・ヤコブソンが作った、傑作バラードのセルフ・カバー。間奏にハードなギター・プレイが演奏され、オリジナルよりロック色の強いアレンジとなった。

リード・ボーカルはアメリカの人気俳優、ジョン・ステイモス。彼は当時、サンフランシスコを舞台としたアメリカの人気テレビドラマ、「フルハウス」にジェシー役として出演、番組中の彼のテーマソングとしてこの曲を度々演奏していた。 ビーチ・ボーイズも何度かこのドラマにゲスト出演している。

この曲も93年UK盤がリリースされた際にハードなギター・ソロが削られ、シンセサイザーがメインのアコースティック色の強いものに差し替えられた。

作者:D.Wilson - G.Jakobson

リード:Jhon Stamos




ストレンジ・シングス・ハプン

作曲・作詞:テリー・メルチャー/マイク・ラヴ


彼女は神を信じている
もちろんカルマのことも
超常現象のパワー
あなたは人々の運命を知っている
天空輝くさそり座
あぁぁ
星の秘密を教えてほしい

彼女はリオで倒れた時
国家元首を支配するほど
大きな力を手に入れた
この地球をより素晴らしくするために
コパカバナの砂浜で
あぁぁ
そう、彼女は瞑想でより輝きを放つ

いつも君に触れていたい ※1
不思議なことが起こるんだ
不思議なことが起こるんだ

(※1 繰り返し)

あぁ、あーああ ※2
不思議なことが起こるんだ
いつも君に触れていたい
不思議なことが起こるんだ

水晶玉を覗き込み
カトリック式の霊視さ
そして予知するんだ
彼女のお告げを
あぁぁ
永遠に続くさだめ

(※1 繰り返し)
(※2 繰り返し)

不思議な、不思議な
不思議な、不思議な

対訳:管理人





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