基本データ
脚本
若槻 文三
監督
飯島 敏宏
技術監督
高野 宏一
放送日
昭和42年1月1日
視聴率
35.7%
ナレーター
浦野 光
ロケ地
東京都和泉多摩川
東京都丸の内
長野県霧ヶ峰高原
登場怪獣
レッドキング2代目
ドラコ
ギガス
キャスト
ムラマツ隊長
小林 昭二
ハヤタ隊員
黒部 進
アラシ隊員
石井 伊吉
イデ隊員
二瓶 正也
フジ・アキコ隊員
桜井 浩子
ホシノ・イサム少年
津沢 彰秀
岩本博士
平田 昭彦
サラリーマン
勝部 義夫
主婦
毛利 幸子
ター坊
宮本 智弘
ター坊の父
中島 春雄
制作№
25
ストーリー
遠い宇宙の彼方から新しい彗星がやってきた。赤い尾を引いたそれは“ツイフォン”と名付けられた。 ツイフォンは地球を目指して刻々と近づいた。そして電子計算機がはじき出した計算では83%の確立で地球に衝突するという!
ツイフォンの軌道が更に詳しく計算された結果、ほんの僅かな差で衝突を免れる事が判ったのだが… 科学センターの岩本博士によると、一番地球に近づいた時の距離は、5万5千860キロだという。 それを聞いて安堵するフジに、ハヤタとアラシは5万キロは僅かな距離だと釘を刺した。 ものすごい大気の移動や彗星の引力の影響で何が起こるか見当がつかなかった。 すれ違う時刻は明後日の午前3時20分15秒、あと37時間後である。
ツイフォンが地球とすれ違う時に起こる異変を色々なデータによって計算した結果、まず大きな被害は受けないだろうという答えが出た。 ひとまず安心した隊員たちだったが、イデが何か引っかかるのを感じていた。何か大事なことを忘れているのでは… そこに宇宙線観測所から緊急通報が入った。 「約30分前から特殊な宇宙線が観測されています。新彗星の接近と何か関係があると思われます」 更に新彗星ツイフォンから強く降り注ぐ宇宙線の作用で水素爆弾が自然爆発する危険がある事が科特隊パリ本部より緊急通達された。 地球防衛委員会は水爆を持っている全ての国に対して直ちにその安全を図るように指示した。
「以前オホーツク海で廃棄処分となった旧型の水爆が6個紛失した噂がありましたよね」イデが切り出した。 その事件は、海底200メートルの鉛の倉庫が破壊され、6個の水爆が起爆装置がそのままの状態で紛失したのだった。 ツイフォンは刻一刻と迫ってくる。まるで火の玉のように。
夜が更けて、突如地下室への避難命令が出された。大した影響は無いと言われていただけにこの命令は人々を不安にさせた。 市民の間では紛失した水爆が噂されていた。 怪獣が飲み込んだのではないか?倉庫に爪痕が残っていた! 噂が噂を呼び騒然とする街。
空から飛来するドラコ
一方、科特隊本部では紛失した水爆について検討されていた。
オホーツク海事件の後、日本アルプスで強烈な放射能が検出された事があり、ハヤタ、アラシ、イデの3人がビートルで現地へ向かった。
日本アルプス上空から水爆探知機で捜索するが一向に反応が無い。
水爆を飲み込んだ怪獣は地下深くにいるのだろうか?
「いかん、そろそろツイフォンの影響の始まる時間だ。着陸しよう」
同時刻、不安を募らせた市民が見守る中、真っ赤な巨大彗星が深夜の空を通過していった。何事も起こらず人々からは歓声が上がった。
雪景色の日本アルプスではハヤタら3人がツイフォンが去った事で胸をなでおろしていた。 すると突如山間から雪男のような巨大な怪獣“ギガス”が出現、3人はビートルに乗り込み水爆探知機の捜索を再開した。 探知機は反応していないため、アイツじゃない。 すると今度は上空から猛スピードで飛来する怪獣を発見!?
レッドキングとドラコの死闘
本部では3人を心配したホシノ少年が駆けつけていた。 そこへ、ツイフォンが通過した直後に妙な飛行物体をレーダー基地が観測したとの通報が入った。ツイフォンから飛来したものらしい。 ツイフォンから飛来した怪獣“ドラコ”はビートルを執拗に追う。 ビートルはドラコをひきつけ、ギガスと激突させた! 2匹の格闘が始まった。
暫くするとイデが開発した水爆探知機が激しく反応するではないか!?
岩山から怪獣レッドキングが姿を現した!!
「水爆を飲み込んでいるのはあいつだ!」見ると喉は大きく膨らんでいる!
彗星が接近した時、レッドキングは地下深くに眠っていたため爆発を逃れたのだった。
戦闘好きのレッドキングは2匹の闘いに加わり、ドラコの翼をもぎ取ってしまった。
レッドキングはドラコを倒すと、今度はギガスと闘い始めた。
ハヤタ危うし!?
ハヤタは2匹を引き離すため、水爆を飲み込んでいるレッドキングを誘った。しかし吹き飛ばされてしまい崖から転落!? フラッシュビームが点火されウルトラマンが現れた!!
ウルトラマンとレッドキングの闘いの中、ビートルは強力乾燥ミサイルを投下、ギガスの身体は粉砕した。
スペシューム光線が使えないウルトラマンが両手を交差させた次の瞬間、レッドキングの身体が宙に浮いた!?
動きを止めると八つ裂き光輪で真っ二つ、水爆の入ったレッドキングの頭部をキャッチし上空へ飛び去った。
その直後、宇宙の遠い彼方で謎の大爆発が起こった事を各地の天文台が観測していた。
何人かの天文学者は新彗星ツイフォンによって乱れた宇宙が再び普段の姿に返るために起こった宇宙エネルギーの逆爆発だと発表した。
新彗星ツイフォンは宇宙の彼方へ去り、再び地球に平穏が戻ったのだ。
苦戦するウルトラマン
岩本博士が神妙な面持ちでメモをムラマツに渡した。
そこには3026年7月2日午前8時、地球と衝突すると書かれていた。
「電子計算機がはじき出したんだ」
「しかし人類はその時、想像を超える優れた科学を持ち、ツイフォンの軌道を変える事も出来るだろう。
地球が自分の作った武器で自滅してしまわないためにも、その時までに人類はもう少し賢くなっていなければ」
岩本博士とムラマツは本心から信じて疑わなかった。
解説
監督はバルタン星人の生みの親、飯島敏宏。脚本は若槻文三。若槻は飯島に誘われてウルトラマンの仕事に携わった経緯がある。
お正月の放送を想定してか、非常に娯楽性の高い作品である。 冒頭から巨大彗星が地球に激突するかも知れないという緊張感と展開の速さは飯島ならではの演出。 第7話『怪獣無法地帯』登場の人気怪獣レッドキングを再登場させた事も、高い人気の要因である。
劇中、市民が地下室へ避難している中、彗星衝突の衝撃で宇宙に飛ばされた時に備えて宇宙服姿のター坊少年が登場するシーンなど、笑いも忘れていない。 因みに、ター坊の父親役の中島春雄氏はゴジラを始めとした数々の怪獣役を演じている着ぐるみ俳優である。
怪彗星ツイフォン