ウルトラマン

第26話

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古代怪獣日本輸送計画。大阪に到着する前に目覚めたゴモラは!?

脚本

金城 哲夫

若槻 文三

監督

円谷 一

技術監督

高野 宏一

放送日

昭和42年1月8日

視聴率

37.5%

ナレーター

浦野 光

ロケ地

兵庫県六甲天文通信館

ニューヨーク国連本部ビル

大阪府北区中之島

大阪府大阪タワー

東京都多摩川住宅

登場怪獣

ゴモラ

スフラン

キャスト

ムラマツ隊長

小林 昭二

ハヤタ隊員

黒部 進

アラシ隊員

石井 伊吉

イデ隊員

二瓶 正也

フジ・アキコ隊員

桜井 浩子

中谷教授

富田 浩太郎

オサム(怪獣殿下)

稲吉 千春

オサムの父

宮田 洋容

オサムの母

布地 由起江

近所の主婦

江島 和子

オサムの友達タケシ

加藤 勉

オサムの友達

川田 勝明

制作№

26

ストーリー

オサム君の夢は広がるばかりだ

オサム君の夢は広がる

大阪に住む小学生のオサム君は「怪獣殿下」とあだ名が付く位の怪獣好き。 怪獣なんているもんかと言う友達に「怪獣は本当にいるんだぞ。万国博の古代館に出品するために大学の偉い先生たちが無人島に大怪獣を取りに行ってるんだ」と必死に話すオサム君。
怪獣展示会が催される大阪万博。オサム君の想像は膨らむ一方だ。

その頃、南太平洋の未開の島“ジョンスン島”に向かった阪神大学の中谷教授を中心とする学術調査隊はジャングルの奥地で4日目の夜を迎えていた。
「ゴモラザウルス。1億5千万年前に実在したという記録が残ってます」 キャンプハウスでは、射撃の腕を見込まれて特別に参加していた科学特捜隊のアラシに1枚の想像図を見せる中谷教授がいた。 昼間、この島にゴモラの砦と呼ばれる場所がある事が判明。伝説上の動物ではなかったとするとゴモラの化石があるかも知れないと教授は説明した。
その時、夜の闇から突然大きな咆哮が聞こえた!
「あの鳴き声は!?」

ゴモラザウルスの想像図

ゴモラザウルスの想像図

翌朝、ジャングルの捜索を開始した調査隊一行。
「助けてくれー!」 一人の隊員が巨大な吸血植物スフランに襲われた! アラシはすぐさまスパイダーで救出する。

調査隊がようやくジャングルを抜け、山岳地帯に出ると突然近くの岩山が崩れ始めた!
その中から伝説の怪獣ゴモラが出現するではないか!? スパイダーを発射しようとするアラシを必死で止める中谷教授。 「生け捕りにするんだ!」

伝説の怪獣ゴモラが出現!?

伝説の怪獣ゴモラが出現

早速日本では“ゴモラは生きていた”というニュースが報道された。
「古代怪獣ゴモラだ。恰好いいだろ!」新聞に掲載されたゴモラの記事の切り抜きを教室の壁に張ったオサム君は大喜び。 昨日まで馬鹿にしていた友達も今や尊敬を込めてオサム君を「殿下!」と呼ぶようになった。
「身長40メートル、体重2万トンの大怪獣だぞ!」 オサム君の描いたゴモラの想像図も壁に貼られた。

その頃、科学特捜隊本部ではゴモラ空輸の会議が行われていた。 本来なら怪獣の運び屋など言語道断だが、万博の為という理由で引き受ける事になったとムラマツは説明する。 安全に空輸するために、ワシントン大学のスミス博士が発明したUNG麻酔弾を使用する手はずが整っているという。 UNGの効力は6時間だ。

ゴモラ空輸に成功

ゴモラ空輸に成功

ビートルでジョンスン島に向かった科特隊一行。 UNG麻酔弾は科学特捜隊ニューヨーク支部から最新鋭のジェット機で届けられ、ゴモラ生け捕り作戦が始まった。
アラシの撃ったUNG麻酔弾2発は見事ゴモラに命中!
麻酔弾を撃ち込まれて眠り込んだゴモラを巨大な鋼鉄製のネットに乗せ、3機のビートルで空輸する事に成功。

六甲山一帯に万が一に備えた非常線が張られた。 ビートルが中谷教授の研究所に近づいた時、突如ゴモラが目を醒まし暴れ始めた。 麻酔の効力が弱かったか気温の変化が原因なのか、まだ5時間しかたっていない!?
このままだとビートルもろとも墜落してしまう!
ムラマツの判断でやむなくワイヤーが切り離された。 地上2千メートルから落下したゴモラは轟音とともに大地に激突した!!

ところがゴモラは生きていた。何という生命力であろうか!
大阪の街が危ない! 「ゴモラは剥製で我慢する。お任せします」中谷教授はムラマツに託した。 科特隊と自衛隊が一斉攻撃するがゴモラはびくともしない。落下の衝撃で体質が強化されたのだ!
猛攻撃に耐えたゴモラは地中に姿を消してしまった。

オサム君の目の前にベータカプセルが!?

オサム君の目の前にベータカプセルが

大阪タワーのゴモラ対策本部に集結した科特隊員。
いつ、どこにゴモラが現れるかわからず、大阪の街はゴーストタウンのように静まり返っていた。 そんな状況でも団地の近くの空き地でウルトラマンごっこで遊んでいるオサム君とタケシ君。 突如、目の前の地面から土が吹き上がり、ゴモラが出現! タケシ君にはみんなに知らせに行かせ、一人ゴモラを見上げるオサム君。 すぐ近くまで迫りくるゴモラ。殿下危うし!!
「ウルトラマーン、ウルトラマーン」 すると殿下の声が聴こえたのか、そこにウルトラマンが現れた!

すぐ近くでオサム君が見つめる中、ゴモラとウルトラマンの激闘が始まった。
大蛇のように太く強靭な尻尾の攻撃で苦戦するウルトラマン。 激しく揉み合うウルトラマンの身体から小さな何かが飛んで来た。オサム君の目の前に落ちてきたそれはベータカプセルだった!?

激しくカラータイマーが鳴り響く中、ゴモラは再び地中に姿を消してしまった。

解説

脚本は若槻文三と金城哲夫の2人、監督は円谷英二の長男、円谷一。万全の布陣である。

今まで散々怪獣と闘ってきたシリーズであったが、本編『怪獣殿下』では怪獣は実在しないという舞台設定であるため、今までの作品とはかなり違う趣がある。 それと団地のシーンや当時3年後に控えた大阪万博に言及しているためか、珍しく時代を感じさせるプロットになっている。

南太平洋の無人島で古代怪獣の生き残りを発見、教授が生け捕りを提案、日本へ空輸し博覧会に展示する、という現実では考えられない展開ではあるが、この筋書きは1933年公開のアメリカ映画の名作『キングコング』へのオマージュなのかも知れない。
それにしてもゴモラ空輸が成功したとしても、麻酔が切れた後はどうするつもりだったのだろう?ツッコミどころ満載である(汗)

第15話『恐怖の宇宙線』のムシバ役で活躍した川田勝明君が「怪獣殿下」オサム君の友達役として出演している。

因みにゴモラ対策本部としてロケ地となった大阪タワーはABCテレビの電波塔であったが、テレビ局の移転に伴い2009年に解体された。

怪獣データ

ゴモラ

ゴモラ

英名:GOMORA
別名:古代怪獣
身長:40m
体重:2万t
出身地:ジョンスン島
攻撃:長く太い尻尾
アクター:鈴木 邦夫
デザイン:成田 亨
造形:長い尾を持つ直立2足歩行の恐竜型。
頭部が一対の尖った角になっている。

特徴: ジョンスン島で発見された古代怪獣ゴモラザウルスの生き残り。
万国博に展示するため、科学特捜隊らによって大阪に空輸される。

コメント: ウルトラ怪獣の中でも特に人気が高い怪獣。
ゴモラが大阪城を破壊するシーンはあまりにも有名。
着ぐるみは36話『撃つな!アラシ』に登場するザラガスに改造された。

スフラン(2代目)

スフラン

英名:SUFLAN Ⅱ
別名:怪奇植物
身長:100m
体重:8t
出身地:ジョンスン島
攻撃:巻き付き
弱点:
デザイン:成田 亨
造形:昆布のような植物型。

特徴: ジョンスン島に生息している吸血植物。
近くを通る生物に巻き付き血を吸いとる。

ゴモラの強靭な尻尾攻撃に苦戦するウルトラマン

ゴモラに苦戦するウルトラマン
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