ウィズ・ザ・ビートルズ
With The Beatles

(アルバム)


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英国でのセカンド・アルバム。ビートルズの根を探るには格好の一枚

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プロデュース:ジョージ・マーティン

Parlophone Revel 1963.11.22


ヒストリー

1963年の春、デビューアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』が全英1位のヒット作となり、その後のシングル「フロム・ミー・トゥ・ユー」、「シー・ラヴズ・ユー」と立て続けに大ヒットを連発。

本国イギリスを制覇したビートルズは、アメリカ進出を窺っていた。 しかし当時のロック/ポップス界はアメリカが主流で、イギリスの歌手がアメリカに進出する事は困難であった。 が、63年暮れの新曲「抱きしめたい」が発表されるともうアメリカも無視する事は出来なくなった。遂にかせが外れ米国デビューを果たした「抱きしめたい」が翌年にビック・ヒット!、あのビートルズ旋風が全米を席巻するのである。 この空前のブームは全世界に広がり、イギリスの歌手・グループが大攻勢する「ブリティッシュ・インヴェイジョン」の社会現象となるのだ。


アルバム解説

63年11月22日にシングル「抱きしめたい」と同時期にリリースされた英国におけるセカンド・アルバム。

曲構成はデビューアルバムと同じオリジナル8曲/カバー6曲の割合であるが、シングル曲の収録が無いために自作の8曲は全て新曲である。 “シングルとアルバムは別”という彼らの明確な意思の表れとも捉えられる。

ヒット曲収録のカラフルな前作に比べると本作は地味な印象を与えるものになった。それは彼らのオリジナリティが抑えられ、代わりに自分たちの音楽ルーツに根ざしたリズム&ブルース色が強い作品が多いことに起因している。 そのため、アップテンポで力強い印象を与え、全体が統一感ある仕上がりになっている。 レコーディングは前作より時間を掛けている。 殆どの曲のリードボーカルはダブルトラック録音。 演奏も前作より進歩している。

ロバート・フリーマン撮影のジャケット写真は、当時としては画期的なハーフ・シャドウという手法がとられ話題となった。後に様々なアーティストや分野でパロディを生む事になる。 プロデュースはジョージ・マーティン。

小生の好き度

★ ★ ★ ★ ★

イントロなしで唐突に始まるジョンのリードボーカル、それに掛け合うポールとジョージのコーラス、激しいビートのロック曲である。

作者のジョンは、当初この曲をシングル用に作っていたが、失敗を懸念してセカンドアルバムのオープニングナンバーとした経緯があったという。 この斬新なサウンドは、正真正銘ビートルズ・ミュージックである。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:John


アメリカ市場を意識してジョンが「スモーキー・ロビンソン風に作った」という作品。

ジョンらしい熱唱タイプのラヴソングで、ボーカリストとしての実力を如何なく発揮している。ポールのハーモニーも絶妙。 そして何よりもリンゴのドラミングが素晴らしい。 この甘くスローな曲調は、黒人ガールズ・グループっぽい雰囲気も醸しだしている。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:John


アメリカのロカビリー歌手のロイ・オービソンとのツアー中にポールが書いた初期の傑作曲。 ジョンはビートルズ解散後のインタビューでこの曲を「くやしいほど良い曲」と絶賛している。

リードボーカルはポール、サビのハーモニーもポールによるダブルトラック録音。 シングルカットされていたら大ヒットしたであろう、やはりビートルズ初期の代表作の1つになっている。 ジョンの3連のリズムギターとポールのメロディアスなベース・ランニングが実に秀逸である。 間奏のチェット・アトキンス風のギター・ソロはジョージの演奏で、ちょっぴりカントリーっぽいテイストだ。

初渡米時に人気TV番組「エド・サリバン・ショー」へ出演した際、最初に演奏された曲で、「抱きしめたい」と共に全米制覇の象徴とされている。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:Paul


ジョージが初めて1人で書いた作品。 まだ発展途上とはいえ、既にジョージ独特の世界観というか、作風を窺うことができる。タイトルは「ほっといてよ!」。 トレモロの効いた怪しいギターはジョージの演奏。 パーカッションはリンゴが叩くアラビアン・ボンゴ。

作者:G.Harrison

リード:George


ジョンとポール共作のアップテンポなロックンロール。

リードボーカルはジョン、ハーモニーはポールによるダブルトラック録音。 ロック・フィーリング溢れるジョンのハーモニカが大活躍、間奏のソロは中々の聴き所だ。バックではポールのピアノの音も聴こえる。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:John


ミュージカル『ミュージック・マン』で取り上げられた、アニタ・ブライアント作のスロー・バラード。 ペギー・リーが61年に発表したアレンジを下敷きにしている。

リードボーカルはこの手のスタンダード・ナンバーが得意なポールで、彼の声質に合った作風といえる。 間奏の壮麗なアコースティックギターはジョージの演奏で、ラテン調の上品なラヴソングに仕上げている。 アメリカの作曲家メレディス・ウィルソンの作品。

作者:M.Willson

リード:Paul


モータウンレーベルの看板黒人女性グループ、マーヴェレッツの61年12月ナンバー・ワンヒット曲。

ジョンの力強いリードボーカルが素晴らしく、ポールとジョージのコーラスも見事にマッチした優れたカバー曲に仕上がっている。 メリハリの利いたリンゴのドラムがモータウン調のこの曲を盛り上げている。 後にカーペンターズもカバーし、75年1月に全米1位を記録している。

作者:Dobbin - Garrett - Garman - Brianbert

リード:John


ロックンロールの創始者、チャック・ベリー56年のヒットナンバー。

ハンブルグ時代のステージではジョンが歌っていたが、ここでのリードボーカルはジョージ、コーラスはジョンとポール。 チャック・ベリーを完全コピーしたオープニングと間奏のギターはジョージの演奏。 カバー曲ながら手拍子も入った躍動感溢れる堂々とした演奏である。

作者:C.Berry

リード:George


ポールのオリジナルであるが、非常にモータウン色の強い作品である。 前作『プリーズ・プリーズ・ミー』のセッションでも取り上げられたが、この時は収録を見送られた。

熱唱するポールのリードボーカル、手拍子も入ったサウンド構成も黒っぽいフィーリングを感じさせるものになっている。 コーラスはジョンとジョージ。 ポールは解散後のインタビューでこの曲は「失敗作だった」と発言している。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:Paul


オリジナルはジョンが敬愛するスモーキー・ロビンソン&ミラクルズの62年のヒット作品。 リードボーカルは珍しくジョンとジョージのハーモニー。 息の合ったバックコーラスはポール。 ピアノはジョージ・マーティン。

非常に難しい曲調であるが、特にジョンが情感たっぷりに歌いきっている。さすがである。 グループ解散直前の映画『レット・イット・ビー』で、ジョンはこの曲をふざけて歌っている。

作者:S.Robinson

リード:John,George


ジョンとポールがリンゴのために書き下ろした作品。 同時期のライバル、ローリング・ストーンズにも提供し、彼らの初ヒットとなった曲でもある。

ステージにおけるリンゴのレパートリーとなり、日本公演でも演奏された。 サビではジョンとポールがバックコーラスで彩りを添えている。 リンゴはドラムとタンバリンを叩いている。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:Ringo


オリジナルは無名の黒人女性グループ、ドネイズが62年に発表した曲。リチャード・ドラプキンの作品。 ファーストアルバムでもそうだったが、ビートルズの選曲はかなりマニアックで渋い。 ジョージのリードボーカルと、ジョンとポールのコーラスのパートが会話形式の掛け合いとなっている。 マラカスはリンゴ。

作者:R.Drapkin

リード:George


ジョンが作った失恋ソング。哀愁漂うリードボーカルはジョンによるもの。 ピアノの演奏はプロデューサーのジョージ・マーティンで、間奏では印象的なソロパートを聴かせる。

当時、イギリスの新聞「ザ・タイムズ」紙でこの曲が「(ギリシャ神話に由来する)エオリアンハープ的な抑揚はマーラーの『大地の歌』にも匹敵する」と絶賛された。 後の「アイル・ビー・バック」に通じる苦味のあるラヴ・バラードである。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:John


モータウンレーベル創始者のベリー・ゴーディとジェイニー・ブラッドフォードの作品。

ツイスト・アンド・シャウト」同様、ジョンのボーカリストとしての天賦の才能が如何なく発揮されたハードなロック曲。 リードボーカルの爆発に加え、ポールとジョージのバックコーラスも迫力がある。ピアノの演奏はジョージ・マーティン。

モノラルミックスは冒頭のピアノのリズムに合わせてリムのカウントが入っているが、ステレオミックスでは無い。 又、最初のギターの入りが異なり、ステレオミックスの方がグリッサンドになっている分、ワイルドさが際立っている。 また、アルバムでは初のセンターボーカルのステレオミキシングである。

作者:J.Bradford - B.Gordy

リード:John





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