ハード・デイズ・ナイト
A Hard Day's Night

(アルバム)


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映画は音楽を変え、音楽は映画を変える“視”と“聴”を初めて密着させたビートルズのサントラ傑作

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プロデュース:ジョージ・マーティン

Parlophone Revel 1964.7.10


ヒストリー

64年の初頭に「抱きしめたい」は全世界で1,200万枚を超える売上げを記録し、アメリカでは次回作「キャント・バイ・ミー・ラヴ」が予約だけで210万枚に達し、最も予約枚数のあったレコードとして『ギネス』に認定されることになる。

アメリカ進出を果たしたビートルズは同年2月に米人気テレビ番組『エド・サリバン・ショー』に出演し最高視聴率をマーク、カーネギーホールでの公演や、4月にはアメリカのチャート上位5位を独占するなど、一大旋風を巻き起こす。8月には彼らの初主演映画となる『ハード・デイズ・ナイト』(監督リチャード・レスター)が公開され、“ビートルマニア”と呼ばれる熱狂的なファンの出現で、ロックの枠を超えた社会現象にまで発展する事になるのだ。


アルバム解説

映画のサウンド・トラックとして、64年7月10日に発売された英国における3枚目のオリジナル・アルバム。 映画撮影と同時進行でレコーディングされたためか、それまでの14曲から1曲少ない13曲の収録となったものの、初めて全曲オリジナル作品、レノン-マッカートニーのクレジットで占められた。 驚くべきはそのクオリティーの高さ。全ての楽曲にオリジナリティ溢れる魅力を有している。

ジョージが弾くリッケンバッカー12弦ギターが始めて登場し、アルバム全体に独特の色彩を与えている。 また、パーカッションが多用されているのも本作の特徴で、前2作と比べると音に厚みを増しているのが明らかだ。 この音質の良さは、アルバムとして初めて4トラック・レコーディングを導入した事と無関係ではないだろう。 ロマンチックで色彩感豊かな作品集に仕上がった、初期の傑作アルバムである。

因みにアメリカ編集版『ハード・デイズ・ナイト』は完全なサントラで、映画で使用された「ジス・ボーイ」」や「アンド・アイ・ラヴ・ハー」などのオーケストラ・バージョンを聴く事が出来る。

プロデュースはジョージ・マーティン。

小生の好き度

★ ★ ★ ★ ★

同名映画の主題歌で、64年7月10日に7枚目のシングル曲としてアルバムと同時にリリースされた。3週連続1位を記録。

ジョンの作品であるが、タイトルは忙しい映画の撮影中にリンゴが呟いた「なんて忙しい日なんだ…」から引用されている。つまり撮影当初はこの曲はまだ完成していなかったのだ。 リードボーカルはジョン、コーラスはポール。中間部のサビはポールがリードボーカルを歌っている。 ジョージが弾くオープニングの12弦ギターの響きが印象的であり、間奏のソロパートは早すぎるためにテープ速度を落として録音したと言われている。但し、後のコンサートではちゃんと弾いている。 ピアノはジョージ・マーティンの演奏。また非常に多くのパーカッションが使われているのも特徴で、これまでに無い音の厚みを感じさせる編曲である。 ビートルズ作品の中でも特に人気が高く、初期の代表作になっている。

『ビートルズ・アンソロジー1』にはジョンとジョージのコーラスが入った初期テイクを聴く事が出来る。

因みに邦題は「ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」というダサいもの(汗)で、最近ではこの表記は見かけなくなった。 (これは映画評論家の水野晴郎氏が命名したといわれている)

個人的には笑福亭鶴瓶がMCを務めた80年代のバラエティ番組『突然ガバチョ!』のオープニング・ナンバーのイメージが強いです。

『ザ・ビートルズ1962-1966』通称“赤盤”の2023エディションに素晴らしいリミックスを収録!衝撃のオープニング!バスドラの迫力、軽快なパーカッション(特にボンゴ)、未聴の方は是非!2024/3追記

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:John,Paul


ジョンの作品。リードボーカルも彼によるもの。 初期のトレードマークであるハーモニカを全面にフィーチャーしたカントリータッチの明るい佳曲。

ジョージは12弦ギター、ジョンはアコースティック・ギターを弾いている。 映画では列車で移動中の貨物置場の檻の中で歌われている。 マイナーコードに転じるサビのフレーズはジョン独特のひねりがあるもので、後の「ガール」に通じるほろ苦さがある。

モノ・ミックスに比べてステレオ・ミックスは冒頭のハーモニカが1音抜けている。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:John


ジョンの作品で、リードボーカルはジョンとポールの2重唱。 2人のハーモニーは素晴らしく、サビのコード進行は絶品だ。 ジョンのラヴソングの中でも屈指の名曲である。

ステレオ・ミックスは、冒頭のジョンの弾き語りのボーカルはダブルトラック、2回目のサビでポールが吹き出しそうになったりと、モノ・ミックスと異なるミキシングになっている。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:Paul


ジョンの作品で、リードボーカルはジョージ。バックコーラスはジョンとポール。 映画ではダンスシーンで使用された。ジョンのリズムギターが印象的。ジョージはアンプをつないだアコースティック・ギターを弾いている。 リンゴのタムタムが曲に独特の表情を与えている。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:George


蜜の味」や「ベサメ・ムーチョ」などのラテン調スタンダード曲を好むポールが作ったオリジナルのラヴソング。 リードボーカルもポール。 ジョージのギターはガット・ギターで、クラシカルな趣を演出している。 リンゴはボンゴの他に、拍子木のようなパーカッションのクラベスを演奏している。

美しいバラードを作るポールの才能の片鱗が窺える作品で、この曲も多くのアーティストに取り上げられた。 間奏で転調するところなどにセンスの良さを感じさせる。

アメリカでは「恋におちたら」とのカップリングでシングル・カットされ、12位まで上昇するヒットを記録した。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:Paul


ジョンが作ったストレートなロック曲。 ジョン曰く、映画用に1曲足りなかったため急遽作ったそうだ。 リードボーカルはジョン、ビーチ・ボーイズを意識したと言われるコーラスはポールとジョージ。

後にビーチ・ボーイズは65年末のスタジオ・ライブのアルバムでこの曲を取り上げている。ビーチ・ボーイズ版はこちら

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:John


64年3月20日に発表されたポールが作った6枚目のシングル曲。3週連続全英1位を記録。 予約だけでも100万枚(アメリカでは210万枚)を越えたシングルとしてギネスブックに載った曲としても有名。 アメリカのチャートで上位5位を独占していた時のトップがこの曲であった。

イントロなしのポールのシャウトで始まるこの曲は、彼らには珍しいシャッフル・ビートの効いたハードな作品。 リズム&ブルース風のベース・ラインが黒っぽいロック曲に仕上げている。 ジョージが弾く非常にワイルドな間奏のギターはダブルトラックである。 レコーディングは64年1月のフランス公演中、パリのEMIスタジオで行われた。

映画ではリハーサルが終わり外に飛び出したメンバー4人がはっちゃけて開放感を満喫する印象的なシーンで使用されている。

モノミックスには全編シンバルが鳴り響いているが、これはミキシング時にエンジニアのノーマン・スミスによって追加されたもの。 そのマルチトラックテープは残っていないため、ハイハットが入ったモノ・ミックスバージョンのリミックスは作る事が出来ない。 『ビートルズ・アンソロジー1』にはジョンとジョージのコーラスが入った初期テイクを聴く事が出来る。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:Paul


リンゴのスネアとバスドラを同時に叩いた“バン!”の後、突然ジョンのシャウトから始まるハードなロック・ナンバー。2回目のタイトルコールはポールが歌っている。 激しいビートの中にも切なさが同居したジョンらしい繊細な作品である。

間奏のシンプルだがちょっと感傷的なピアノはプロデューサーのジョージ・マーティンによるもの。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:John


ちょっとカントリータッチのギターリフとリンゴのハイハットの高音が印象的なジョンが作ったストレートなロック曲。 リードボーカルはジョンで、彼自身お気に入りの1曲だという。 アメリカでは「すてきなダンス」とのカップリングでシングル・カットされた。最高位25位。 ポールのベース・ランニングがたまらない。

もともと映画のためにジョンにより書き下ろされたものだが、詞が悲観的すぎるという理由で使用されなかった。 但し、映画の再上映ではオープニングシーンに使用されている。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:Paul


シングル「ハード・デイズ・ナイト」のB面にカップリングされたポールの作品。 イントロから繰り返される“ジャジャジャーン”というギターが印象的な曲で、マイナーコードとメジャーコードが転調を繰り返す構成も面白い。 感情を抑えたリードボーカルはポール、サビのコーラスもポールによる多重録音。 珍しくジョンがピアノを弾いている。

ハイハットの効いた淡々としたサウンドは非常にクールで透明感がある。 非凡な才能が垣間見られる隠れた名曲だ。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:Paul


ジョンが作ったリズム&ブルース風のちょっとヘビーで荒削りな作品。 リードボーカル、厚みのあるコーラスともにジョンの多重録音。 ジョン好みの熱唱タイプのロック曲で、リズムギターはジョンとジョージ2人による演奏である。 アメリカ黒人R&Bシンガーのウィルソン・ピケットを模したそうだ。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:John


シングル「キャンド・バイ・ミー・ラヴ」のB面に収録されたジョンの作品。 「マネー」の時のような激しいリードボーカルはジョン、完璧なバックコーラスはポールとジョージ。 特にサビのハーモニーは素晴らしい。 印象的なギターリフはジョージ、ワイルドなギターソロはジョンが演奏している。 カウベルが独特のアクセントを付けているリズム&ブルース調の曲である。リンゴのブレイク後のフィル・インがカッコいい。

ジョンはこの曲をシングルA面曲として自信を持っていたが、B面になった経緯を「ポールの『キャンド・バイ・ミー・ラヴ』がそれ以上によかったからさ」と発言しており、当時ポールとの間で激しいシングルA面争奪戦が行われていたことが伺える。 相当悔しかったのだろう、この後発表される4枚のシングルはいずれもジョンの作品がA面を飾る事になる。

今まで気づかなかったが、ポールのベースが凄い!“赤盤”2023エディションを聴いて初めて思いました。。2024/3追記

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:John


ジョンが作ったほろ苦いラヴソング。「今日の誓い」同様、マイナーとメジャーの転調が使われているが、ジョン曰くデル・シャノン風にアレンジした、と語っている(おそらく「悲しき街角」を指しているのであろう)。 リードボーカルはジョンとポールのハーモニー。サビはジョンの多重録音。恋人への思い出を歌っているような歌詞であるが、実際は行方不明だった父親との再会についての歌である。

『ビートルズ・アンソロジー1』では3拍子で歌っている別テイクを聴く事が出来るが、アレンジに試行錯誤していたことが伺える。

それにしてもこのアルバムにおけるジョンの活躍は目を見張るものがある。全13曲中10曲の楽曲提供は当時の彼の充実振りを伝えるものだ。

蛇足であるが、アーノルド・シュワルツ・ネッガーの大ヒット映画『ターミネーター』の決め台詞としても有名なタイトルである。

作者:J.Lennon - P.McCartney

リード:John





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