基本データ
脚本
佐々木 守
監督
実相寺 昭雄
技術監督
高野 宏一
放送日
昭和41年12月18日
視聴率
38.2%
ナレーター
浦野 光
ロケ地
山梨県河口湖
東京都国立代々木競技場
東京都読売カントリークラブ
登場怪獣
ジャミラ
キャスト
ムラマツ隊長
小林 昭二
ハヤタ隊員
黒部 進
アラシ隊員
石井 伊吉
イデ隊員
二瓶 正也
フジ・アキコ隊員
桜井 浩子
アラン
ピエール・ピロッツ
警察官
飯田 和平
アキラ少年
吉野 謙二郎
アキラ少年の母
中村 富士子
制作№
22
ストーリー
国際平和会議が東京で開かれる矢先、空と海の原因不明の事故が相次いだ。
すべて国際平和会議に出席する各国の代表が乗った船や航空機だった。
科学特捜隊パリ本部は国際平和会議を妨害する重大な事態と考え、アラン隊員を東京支部に派遣した。
「隠れてこそこそ妨害しようとしているのはどこの国だ」
「地球上の国とは限りません」アランが言った。
地球の平和を妨害する別の星の宇宙人なのか!?
その頃、ひき逃げして逃亡を続ける車をパトカーが追いかけていた。 車は更に逃亡を図ろうとしたが、突然爆発音を発し炎上した。まるで見えない壁に激突したかのように。
事故の知らせを受けた科特隊のムラマツ、ハヤタ、アラシ、アランが現場に向かう車中、この事故は全世界に起きている事件と関係があるかもしれないとアランは言った。 報告書によると、沈められた船や墜落した航空機は壁に激突したとしか思えないというのだ。 事故現場に到着すると車が進まなくなり、隊員たちが車外に出ると、車は爆発、見えないロケットが飛び立った。 イデとフジはジェット・ビートルで出動、電波探知機で見えないロケットを捉えたが逃げられてしまう。
翌日、イデが開発したスペクトル線を搭載したビートルは、スペクトルα線β線γ線を照射し見えないロケットの可視化に成功、あらわとなった宇宙船はビートルの攻撃で山中に墜落した。
隊員たちが墜落地点を捜索していると、唸り声と共に山林から巨大な怪獣が姿を現した。
「おぉ、やっぱりジャミラ…ジャミラ、お前は…」怪獣を見たアランはそう呟いた。
ムラマツらが一斉に攻撃する中、フジはアランの目が涙で一杯になっているのに気が付いた。
科特隊が攻撃する中、怪獣は森の中に身を隠してしまった。
夜に入ってからも科特隊による探索は続けられた。 「ムッシュ・アラン、あなたは怪獣を見たときジャミラと言いましたね。ジャミラとは一体何なんです?」ムラマツは問う。 「ムッシュ・ムラマツ、パリ本部で予測していた最悪の事態になりました。諸君、あれは怪獣ではありません。あれは、いや彼は我々と同じ人間なのです」
ジャミラは人間だった!?
それはアメリカ・ソ連を中心に世界各国で宇宙競争が行われている頃であった。ある国で打ち上げられた有人衛星がついに帰ってこないという事件が起きた。その宇宙飛行士の名前がジャミラだったのである。 しかし科学のために人間が犠牲になった事をその国はひた隠しに隠してきたのであった。
ジャミラの乗ったロケットは宇宙を漂流しながらどこかの星に流れ着いた。
しかしその星の過酷な風土により姿が変貌してしまったジャミラは、何十年かけてロケットを作り変えて地球に帰ってきたのだ。地球の全人類に対する復讐心のみを持って。
「俺やめた! ジャミラと闘うのやめた!」不意にイデが声を上げた。
複雑な思いが隊員たちの脳裏をかすめる中、アランが沈黙を破った。
「諸君、改めてパリ本部からの命令を伝える。ジャミラの正体を明かすことなく宇宙から来た一匹の怪獣として葬り去れ。それが国際平和会議を成功させるただ一つの道だ」
水流に苦しむジャミラ
翌日、防衛隊による火炎放射をものともせず、ジャミラは山麓の村を襲った。 口から火炎を吐き、村を焼くジャミラ。
逃げ惑う人々の中に、1人アキラ少年が燃え盛る村に走っていく。 家に置き去りにしたペットの鳩を助けるためだった。 すぐそばまで迫るジャミラを前にハヤタがアキラ君を救出した。 「ジャミラ、人間らしい心は無くなってしまったのかよー!!」イデの叫びにジャミラが一瞬止まった。燃え盛る村を見つめるジャミラ。
科特隊の人口降雨弾を浴びながらもジャミラは万国旗がはためく国際平和会議場に現れた。 そこにウルトラマンが登場。ウルトラマンが水流を浴びせるともがき苦しむジャミラ。 遂にジャミラは泥水の中で力尽きた。国旗を掴みながら。
建てられた墓碑
「ジャミラ、許してくれ。だけどいいだろ、こうして地球の土になれるのだから」
その日、国際平和会議は盛大に幕を開いた。
そして科学特捜隊によって建てられた墓碑はこう読めた。
『人類の夢と科学の発展のために死んだ戦士の魂ここに眠る』
「犠牲者はいつもこうだ。文句だけは美しいけれど…」墓碑の前に佇むイデの耳には今もジャミラの断末魔の声が聞こえていた。
現れた見えないロケット