基本データ
脚本
金城 哲夫
監督
樋口 祐三
技術監督
高野 宏一
放送日
昭和42年2月5日
視聴率
39.9%
ナレーター
浦野 光
ロケ地
新潟県TBS東丸山スキー場
登場怪獣
ウー
キャスト
ハヤタ隊員
黒部 進
アラシ隊員
石井 伊吉
イデ隊員
二瓶 正也
ゆき
富永 幸子
猟師の町村
山本 廉
村の盟主 秋田
近衛 敏明
制作№
31
ストーリー
ここは都会から遠く離れた山奥のスキー場である。 最近開設されたばかりだが雪の量が多いので人気を呼び休暇になると大勢のスキーヤーが集まってきた。
ある日、飯田山で遭難した町村というベテランの猟師がこのスキー場に運び込まれた。 町村はロッジで意識を取り戻すや「ウーにやられた。本当に見たんだ」とうなされるように話し出した。
熊の親子を追ってるうちに鬼門の飯田山へ迷い込んだ町村だったが、3日目にようやく獲物を見つけ出した。
ところがよく見るとそれは村で"ゆきんこ"を呼ばれているゆきという少女だった。
たびたび猟を邪魔されていた町村は、腹いせにゆきんこを懲らしめるため追いかけまわした。
「ウー、ウーよー、助けてー!」ゆきが空に向かって叫んだ時、山間から全身白い毛で覆われた巨大な怪物が姿を現した!!
町村は猟銃を何発も打ち込むが怪物には通用せず、命からがらその場から逃げ出したという。
「幻じゃない。あれは確か昔バア様から聞いたウーだ」
「もし本当だとしたらスキー客も大勢いる事だし、大変な事になるぞ」村の盟主である秋田は事が重大と考え、科学特捜隊に調査を依頼する事にした。
ゆきを助けるため現れたウー
依頼を受けた科学特捜隊、ハヤタ、アラシ、イデの3名が現場へ向かった。
「やい、ゆきんこ。ウーはお前が居たから出てきたんだろ。早くこの村からどっかいっちまえ」 ゆきをいじめる少年たちの上空に、ハヤタらが乗ったジェットビートルが見えた。
「あれがまぼろしの雪山と言われている飯田山です」秋田が隊員たちを向かい入れた。
夏でもその山だけは雪が残っている、気象庁も理由が判らないミステリー・ゾーンだという。
ウーはこの地方の伝説の怪獣で、スキー客は減り、山岳救助隊も怖気ずき、村は困窮している。
「判りました。こんな美しい雪山を汚す怪物がもしいたら、科学特捜隊の新兵器でたちどころに退治してみせます」
そう話すイデを物陰から見つめるゆきがいた。その眼は敵意に満ちている。
ゆきを問いただすイデ
猟師がウーを見た地点へスキーを飛ばしす3人。 ところが地図が間違っているのか、どんどん飯田山から離れていくのだ。 標識が意図的に変えられているようで、誰かに妨害されている!?
山頂を見ながら進もう、そう言って歩を進めたハヤタは転倒し足を負傷してしまった。落とし穴が掘られていたのだった。
その時イデは人影を感じた。捕まえると、それはゆきだった。
「犯人は君だな。なぜあんなことをやったんだ。僕たちが誰だか知っているのか」
「何でもかんでも怪獣呼ばわりして殺してしまう、恐ろしい人たちだわ。ウーを殺しにきたくせに!」
イデに雪玉を投げつけるとゆきはその場から逃げ出した。
「それは"ゆきんこ"ですよ」秋田は笑った。
15年も昔、ある大雪の夜、どこから来たのか村に行き倒れの母子がいた。
母親は飢えと寒さでとっくに死んでいたが、なぜか赤ん坊だけは元気だった。
でもその事がかえって雪女の娘と恐れられ、誰も引き取り手がいなかったという。
飯田山の麓に炭焼きをやっていた喜助という独り者の年寄りが育ての親になったが、その爺さんも2年前に亡くなってしまってゆきは独りぼっちになってしまったのだ。
素性がわからず何気に敬遠されてきたゆきは、今回のウーの件で村人からますます嫌われるようになり、誰も寄せつけなくなっていた。
自身、早くに母を亡くしたイデは、ゆきの気持ちがわかる気がした。
スキー場にウーが出現!?
翌朝、飯田山から怪獣ウーが出現した。ウーは実在したのだ!!
パニックになるスキー客たち。
アラシとイデが攻撃しようとすると、ゆきが止めに入った。
「撃っちゃ駄目、ウーを怒らせないで」
「バーン、バーン」その時、猟師の町村が猟銃を撃ちだした。
「ウー、乱暴しては駄目。人間に乱暴したら仲間に入れてもらえなくなるわ。早く山へお帰り!」
怒り狂うウーだったがゆきの必死の説得で山に帰っていった…。
少年たちがゆきをいじめるために掘った落とし穴に落ちた老人が凍死してしまった。
「きっとゆきんこの仕業さ。この村から追い出そう!もう我慢できない」
殺気立つ村人たちは武器を手にゆきの元に向かった!
一方、ウー出現で苦境に立ったスキー場を救うべく、アラシとイデはウー撃退のためビートルで出動する。
「アラシ、待ってくれ。何だか今度の事件はひどく気が重いんだ」機内で思いつめた表情のイデが吐露する。
「もうそれを言うな。怪獣は所詮、人間社会に入れてもらえない悲しい存在なんだ」
「…僕にはウーが15年前に死んだゆきんこの母親の身代わりのような気がするんだ」
しかしウーへの攻撃は本部命令、ビートルは飯田山への攻撃を開始した。
暴徒化した村人たちに追われるゆきは遂にウーを呼んだ!
幻のように消えゆくウー…
谷間にウーが現れると、ビートルが攻撃を開始、雪山は爆炎に包まれる。 ウーはビートルを叩き落すと、スキー場に向かった。 ロッジにいたハヤタはフラッシュビームを点火! ウーの前に現れたウルトラマン。
追われ、疲れ果てたゆきは雪の中に倒れこんでしまった。 「ウー、ウーよー」山々に響き渡るゆきの声を聞いたウーは幻のように消えていった… ゆきは山へ帰ったのだった。永遠に。
「俺はこんな事を考えている。ゆきんこって女の子は実際にはいなかったんじゃないか、雪山の幻だったんじゃないかって」 感慨に浸るイデ。辺りは一面の銀世界が広がるだけであった。
"ゆきんこ"こと少女ゆき