ビーチ・ボーイズ・パーティ!
Beach Boy's Party!
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65年11月にリリースされたビーチ・ボーイズのスタジオ・ライヴ・アルバム。
全米2位の大ヒット曲「バーバラ・アン」収録。
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プロデュース:ブライアン・ウィルソン
Capitol Revel 1965.11.8
曲目リスト
ヒストリー
『トゥデイ!』『サマー・デイズ』で創作の頂点を極めたブライアン・ウィルソンであったが、クリスマス・シーズンが到来し、キャピタル・レコードから更なる新譜要求を受ける。 ビートルズやフィル・スペクターに対抗するためにサウンド追求を目指すブライアンにとって、会社の要求はストレスのかかるプレッシャー以外の何物でもなかった。 そこでブライアンは(本意ではなかったが)コストも時間も掛からない、スタジオでのライヴ風レコーディングを行うというアイディアを思いつく。
クリスマス向けアルバム『ビーチ・ボーイズ・パーティ!』は全米チャート6位まで上昇し、急ごしらえで作られたものとしては十分な結果を残すことになった。 しかし、アルバムと同時にリリースされたシングル曲「リトル・ガール・アイ・ワンス・ニュー」は「カリフォルニア・ガールズ」と同じくらい創意に満ちた素晴らしい作品であったが、殆どラジオにかけられることなく、チャートの20位を確保するのがやっとだった。 それとは対照的にアルバム『ビーチ・ボーイズ・パーティ!』からシングル・カットされた即興風の「バーバラ・アン」は全米2位まで上がる大ヒットを記録した。この皮肉ともいえる現象は、ブライアンが『トゥデイ!』や『サマー・デイズ』でも感じた、作品の出来と売上げは必ずしも一致しない点を再認識したであろう事は想像に難くない。
さて、この年の暮れ、ブライアンにとって大きな転機が訪れる。 『ビーチ・ボーイズ・パーティ!』が発売された1ヶ月後の12月6日にビートルズの新しいアルバムがアメリカで発売されるのだ。
このアメリカ編集版『ラバー・ソウル』を聴いたブライアンは、アルバム全体が素晴らしい楽曲で構成されている事に衝撃を受けたという(このアメリカ版『ラバー・ソウル』はキャピトルが意図的に楽曲を入れ替え、フォーク・ロック集の趣のある作品にしたものであった)。
『ラバー・ソウル』に刺激されたブライアンは「史上最高のロック・アルバムを作るよ!」と妻マリリンに誓ったという。
アルバム解説
ブライアンはキャピトル・レコードの新譜要求に対し、スタジオ・ライヴ・アルバムの制作を思いつく。 メンバーは妻や彼女、友人たちを連れて、ウェスタン・スタジオに食べ物と飲み物を持ち込み、2日間に渡るレコーディングが開始される。 このスタジオ・ライヴの『ビーチ・ボーイズ・パーティ!』は1965年11月8日にリリースされ、何とかクリスマス商戦に間に合うのであった。
殆どの曲がアコースティック・ギター、ベース・ギター、タンバリンやボンゴ、手拍子などのパーカッション、といったシンプルな伴奏で歌われており、一聴すると現在のアンプラグドの先駆のようなスタイルを連想させるが、やはりあくまで苦肉の策であったことがわかる。 アルバム・チャートは全米6位まで上昇した。
アメリカの黒人ドゥーワップ・グループのオリンピックスが60年に発表した曲。
コーラス・アレンジなどオリジナルに忠実。非常に和やかな雰囲気の中、ギターと手拍子に合わせてマイク・ラヴが気持ちよさそうに歌っている。恐らくマイクのお気に入りだったのだろう。
ビートルズの作品で、64年の彼らの初主演映画『ハード・デイズ・ナイト(邦題「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」)』の挿入曲。リード・ボーカルはカール・ウィルソンとアル・ジャーディン。
アコースティック・ギターに手拍子が入った演奏のためか、オリジナルのC&W調に比べフォーク・ソングのようなアレンジである。サビではベース音が一部間違ったキーで演奏されている。
この曲も前曲と同じくビートルズの映画収録曲。リード・ボーカルもカールとアルによるもの。 ドライブ感たっぷりの歌と演奏はこのアルバムの中でも出来は良い。
カールはビートルズの大ファンなので、彼によるリクエストなのだろう。
75年のベスト・アルバム『スピリット・オブ・アメリカ』にも収録された。
アメリカの黒人グループ、リヴィングストンズ、62年のヒット曲。
リード・ボーカルはブライアンであるが、マイクのバス・コーラスの方が目立っている。 言葉遊びのような歌詞は音で楽しむような趣がある。 この曲もボーカル・アレンジがオリジナルに忠実だ。
よりドライブ感のあるライヴ演奏は『ビーチ・ボーイズ・コンサート』で聴く事が出来る。
アメリカの白人ロックンロール・シンガーのハロルド・ドーマンが60年に発表した曲。 但し、ビーチ・ボーイズは64年にヒットしたジョニー・リヴァースの方を元にしている。
ジョニー・リヴァース版と同じくハーモニカがフィーチャーされた乗りのいい、まとまった演奏を聴かせる。 リード・ボーカルはマイク・ラヴ。
ビートルズ65年の2作目の主演映画『ヘルプ!(邦題「4人はアイドル」)』の挿入曲で、当時ボブ・ディランに傾倒していたジョン・レノンの作品。 リード・ボーカルはデニス・ウィルソン。
ジョンはディランの歌い方を真似して歌っていたが、デニスはジョンの歌い方を意識した感じだ。 サビの歌いだしで、デニスの声に合わせてスタジオに居た女性たちが一斉に「ヘイ!」と掛け声をかけるところが何ともユニーク。 曲の冒頭、一瞬だけ伴奏にチェレスタが加わる箇所がある。
アメリカの人気デュオ、エヴァリー・ブラザースの58年にヒットさせたロマンチックなラヴ・ソング。 ブライアンとマイクが息の合ったデュエットを聴かせる。
この曲は67年8月28日に、ブライアンとマイクの2人名義で「ゲッティン・ハングリー」とのカップリングでシングル・カットされている。
ゲイリー・パクストンやキム・フォウリーなどが結成したハリウッド・アーガイルズの60年の全米ナンバー・ワン・ヒット曲。 “アリー・ウープ”とは当時新聞に連載されていた漫画に登場する原始人の名前とか。
曲の冒頭、演奏に合わせてローリング・ストーンズの大ヒット曲、「サティスファクション」のフレーズを口ずさんでいるのが一瞬だけ聴こえる。 リード・ボーカルはマイク。歌い終わりにギターのキーについてブライアンとマイクらの会話が聞こえる。
黒人女性グループのクリスタルズ、62年のヒット曲。作者はフィル・スペクター。 スペクターを敬愛するブライアンが情感たっぷりに歌い上げる。また、厚みのあるバック・コーラスも素晴らしい。
アルバムと同時にリリースされたシングル「リトル・ガール・アイ・ワンス・ニュー」のB面としてシングル・カットもされている。
ビーチ・ボーイズのオリジナル・ナンバー。「アイ・ゲット・アラウンド」と「リトル・デュース・クーペ」が続けて演奏されている。
2曲ともマイクやブライアンのボーカルはふざけた感じで、演奏もぼろぼろ。パーティーの楽しさは伝わってくるが…。
冒頭「アルがプロテスト・ソングを歌います」というような会話の後に演奏される、64年のボブ・ディランのヒット作品。
リード・ボーカルはフォーク・ソング・ファンのアル・ジャーディン。 パーティーの楽しさは伝わるものの、この曲もちょっとふざけた仕上がり。 「悲しみはぶっとばせ」みたいに「ライト!(よし!)」という合いの手が入り笑い声が聞こえる。 エンディングでチェレスタとピアノが少しだけ演奏される。
アメリカのドゥーワップ・グループのザ・リージェンツ61年のヒット曲。
偶然ウェスタン・スタジオでレコーディング中だったジャン&ディーンのディーン・トーレンスが合流し、この曲を提案したという。 曲の終わりで「ありがとう、ディーン」というカールの声が聞こえる。 リード・ボーカルはブライアンとディーン。ブライアンの声質にあった曲である。
65年12月20日にシングル・カットされ世界中で大ヒットを記録、全米チャートも2位まで上がった。 シングル・バージョンはアルバム収録版よりエンディングがカットされている。
思わぬヒットとなったものの、ブライアンにとって複雑な思いもあったはずだ。数分のセッションで完成した「バーバラ・アン」が、時間を掛けて作られた素晴らしい力作「カリフォルニア・ガールズ」をチャートでは上回ったのだから。
2001年の未発表音源集『ホーソーン,カリフォルニア』にこの曲のレコーディング風景が収録されている。 又、同CDにはおしゃべりなどの効果音がオーバーダビングされる前のマスター・テイクを聴く事が出来る。
ゼアーズ・ノー・アザー
作曲・作詞:フィル・スペクター/リロイ・ベイツ
ある物語
僕は君のことが知りたい
僕のベイビー
僕が彼女をどれだけ愛しているか
あぁぁ、他にはいないんだ
僕のベイビーよ、駄目なんだ
あぁぁ、君以外いないんだ
そうじゃなきゃ意味無いんだ
町を歩いていると
人ごみの中に
僕のベイビーを見つけたんだ
とても気分がいいよ
あぁぁ、他にはいないんだ
僕のベイビーよ、駄目なんだ
あぁぁ、君以外いないんだ
そうじゃなきゃ意味無いんだ
踊っていたら
僕の隣にベイビーがいたんだ
そっと彼女に囁いた
いつか僕の花嫁になってくれないかい
あぁぁ、他にはいないんだ
僕のベイビーよ、駄目なんだ
あぁぁ、君以外いないんだ
そうじゃなきゃ意味無いんだ
対訳:管理人
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