ライヴ・イン・ロンドン
Beach Boys '69(Live In London)
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70年5月にリリースされたビーチ・ボーイズの2枚目となるライブ・アルバム。
英国や日本では『ビーチ・ボーイズ69’』というタイトルで発売。
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プロデュース:ブライアン・ウィルソン
Capitol Revel 1970.5
曲目リスト
1. | ダーリン | Darlin' |
2. | 素敵じゃないか | Wouldn't It Be Nice |
3. | スループ・ジョン・B | Sloop John B |
4. | カリフォルニア・ガールズ | California Girls |
5. | 恋のリバイバル | Do It Again |
6. | 世界よ目をさませ | Wake The World |
7. | うれしくないかい | Aren't You Glad |
8. | 青空のブルーバード | Bluebirds Over The Mountain |
9. | 心には春がいっぱい | Their Hearts Were Full Of Spring |
10. | グッド・ヴァイブレーション | Good Vibrations |
11. | 神のみぞ知る | God Only Knows |
12. | バーバラ・アン | Barbara Ann |
[ボーナストラック] | [bonus track] | |
13. | 英雄と悪漢 | Heroes And Villains |
ヒストリー
名作『ペット・サウンズ』以降、充実した作品を発表し続けるものの、米国におけるグループの人気は完全に下火になっていた。 更にビーチ・ボーイズ側の訴訟により、アメリカのレコード配給会社キャピトル・レーベルとの関係が断裂。 過去の全アルバムを全て廃盤にする報復処置により、ファン激減に拍車が掛かることに。 このキャピトルの行為はその後のブライアンに更なる悲劇をもたらす事になるのであった。
さて、米国の状況とは逆に、ヨーロッパ、特にイギリスでは歓迎され、バンド人気はうなぎ上りとなる。 そのため、60年代後半のビーチ・ボーイズは、ヨーロッパを中心としたコンサート活動がメインとなっていく。 このライブ活動はグループの生命線となり、苦境の時代を耐え忍ぶのだ。 やがてリバイバル・ヒットを引き起こす原動力となるのだが、それには少し時を待たなければならない。
アルバム解説
1970年5月にイギリスにおいてEMIから『ビーチ・ボーイズ69’』というタイトルでリリースされたオリジナル・アルバム。 68年12月8日にフィンズベリー・パークで行われたロンドン公演の模様を収録したもので、彼らにとって2枚目となるライブ・アルバムである。 当時のイギリスにおけるビーチ・ボーイズ人気は凄まじく、観客の反応は熱狂的だ。
選曲もアルバム『サマー・デイズ』から『20/20』までの作品をバランス良く網羅しており、耳の肥えた英国人を意識した通好みの曲も含まれている。 また、進行役のマイク・ラヴの軽快なトークが絶妙で、彼のパフォーマーとしての資質の高さを証明したものでもある。
サックスやトランペットなどのホーン・セクションを多用した厚みを増したサウンドは、“ライブバンド”としての彼らの実力が如何なく発揮されているもの。 きっと職人の親方のようなブライアンによる厳しいリハーサルが繰り返されたのであろう。 それ程コーラス、演奏ともに完璧なパフォーマンスである。 ビーチ・ボーイズのライブ・アルバム中、最も充実した内容だと個人的には思っている。
日本でも71年にリリースされているが、残念ながら母国アメリカではグループの人気が復活し、キャピトルとの関係が雪解けのムード高まる76年11月にようやく発売されるのであった。
興奮気味のMCによるグループ紹介の後、コンサートのオープニングを飾るのは、アルバム『ワイルド・ハニー』収録の傑作ロック曲。 スタジオ版よりドライブ感が増し、シャウト気味のカールのリード・ボーカルもより洗練されている。 エレキ・ギターが前面に出ているが、ブラス・セクションの手堅いプレイも非常に素晴らしい。又、後半のメンバーのバック・コーラスは貫禄すら感じられる堂々としたものだ。 5年前のライブ『ビーチ・ボーイズ・コンサート』の雰囲気と比べると脂が乗った大人の余裕が感じられる。
イントロのギターが鳴った瞬間から心ウキウキする、アルバム『ペット・サウンズ』収録の珠玉のポップ・チューン。 ブライアンの代わりにリードを取ったアル・ジャーディンの歌声は、オリジナルよりもロック色が強い。 中間部のマイク・ラヴのパートでは歯切れのいいギターが心地いい。 この曲もトランペットとサックスのホーンが実に良い。ブライアンとトニー・アッシャーの共作。
フルートの調べで始まるトラディショナル・ソングで、前曲同様66年の傑作アルバム『ペット・サウンズ』からの選曲。 リード・ボーカルはカールとマイク。
重厚なスタジオ・バージョンと比べ、より軽快なアップテンポなサウンドに仕上がっている。 目を見張るこの曲の特異なベース・ラインであるが、ライブでも見事に再現されている。
独特のイントロが聴こえた途端に会場から歓声が上がるあたり、この曲の人気の高さを物語っている。 このコンサート収録曲の中では最も古い65年のアルバム『サマー・デイズ』から選曲された、ビーチ・ボーイズの代表作。
鼻にかかったマイクのボーカルがマッチしたライブでもお馴染みの曲である。 素晴らしいサビのコーラスでは、リズミカルなホーン・セクションが歯切れのいいサウンドを聴かせる。 ブライアンの作品。
冒頭、会場の観客を巻き込んだマイクの貫禄の進行ぶりは中々のもの。 アルバム『20/20』からの選曲であるが、ライブが行われた時点ではまだアルバムは未発表。 シングル曲として8月28日に全英ナンバー・ワンの大ヒットを記録していたので観衆にとっては1押しの曲だっだのだろう、会場からは手拍子が贈られる。
スタジオ版ではミックス時に埋もれて聴き取りにくいバリトン・サックスがはっきりと聴こえる。また、ブライアンの「パッパー、パーパッパーパッパー」のコーラス・パートが力強いトランペットに置き換えられている。
68年のアルバム『フレンズ』からブライアンとアル・ジャーディンが作ったメッセージ性の強い作品。この選曲はかなり渋い。
曲の最後の方で夜の到来を告げるトランペットの間奏があるが、スタジオ版の間奏は冒頭の夜明けを告げるタイミングであった。オカリナのようなたどたどしい音はマイクが演奏しているエレクトリック・テルミンである。 リード・ボーカルはアルとカール、サビでは暖かいバリトン・サックスの音色が心地いい。
ブライアンとマイクが作った軽快なラヴ・ソング。リード・ボーカルはマイクとカール。サビではカールとコーラスの掛け合いが聴ける。 ボーカルとトランペットのスリリングな絡みは聴き応え十分。
67年のコンセプト・アルバム『ワイルド・ハニー』からの選曲。この曲も地味なスタジオ版を遥かに凌ぐ、ドライブ感溢れる軽快なサウンドを聴かせてくれる。
アーセル・ヒッキーのカバー曲。このコンサートが行われる1週間前にリリースされたばかりの最新シングル曲。後にアルバム『20/20』に収録される。
乗りのいいデニスのドラムがアップ・テンポなサウンドを引っ張り、トランペットが抜群のドライブ感を出している。 ブルースの旧友、エド・カーターの迫力あるギターが聴き所で、スタジオ版とは異なるフレーズが弾かれている。 エンディングにはこのコンサートでは珍しいストリングスの音も聴こえる。
フォー・フレッシュメンのレパートリーで、グループのお気に入りの1曲。 やや速いテンポであるが、さすがに絶妙なアカペラのハーモニーを聴かせる。 会場は固唾を呑んで静まり返るが、歌が終わると大歓声が巻き起こる。
スタジオ・バージョン(67年8月25日のハワイのライブ用リハーサル)は、『ワイルド・ハニー』のボーナス・トラックとして聴く事ができる。
カールが歌い始めると同時に大歓声と手拍子が巻き起こる、コンサートのハイライト。 66年暮れにリリースされたグループ最大のヒット曲で、イギリスでの人気を決定付けた。 この曲が発表された後、ブライアンはビーチ・ボーイズのメンバーの演奏力ではこの曲を台無しにしてしまうのではという不安に駆られ、ツアー先に同行し延々とリハーサルを繰り返していたそうだ。 このコンサート当日に行われたスタジオのリハーサルは、98年の『エンドレス・ハーモニー』に収録されていて、完成度の高い演奏を聴くことが出来る。
電子楽器のエレクトリック・テルミンも使われた非常に大掛かりな演奏とコーラスは見事であり、この出来栄えにブライアンも満足したのではないか? 会場からは惜しみない拍手と歓声が贈られ、コンサートのラスト・ナンバーに相応しい1番の盛り上がりを見せる。 スタジオ版はアルバム『スマイリー・スマイル』に収録。
前曲の興奮が覚め遣らぬ中、コンサートのアンコール曲として演奏されるのはアルバム『ペット・サウンズ』に収録されているブライアンとトニー・アッシャーが作った不朽のラブ・ソングだ。
カールの艶やかなリード・ボーカルはこの上なく美しく、メンバーの絡み合うコーラスも最高である。ホーン・セクションも入った素晴らしいライブ・パフォーマンスを披露している。 スタジオの"音"が見事に再現されているが、この曲も鬼のようなブライアンの厳しいチェックがあったのだろう。 終盤のフルートがとちっているのはご愛嬌。
コンサートの最後を飾る曲は、65年のクリスマス用のアルバム『ビーチ・ボーイズ・パーティー!』収録のザ・リジェンツのカバー曲。 リード・ボーカルはマイク、フォルセットのパートはブルース・ジョンストンによるもの。
ここでもホーン・セクションがサウンドに力強さを与えている。このアップテンポなダンス・ミュージックにより会場の盛り上がりはピークを迎え、大興奮のエンディングとなる。
ボーナストラック
『ライブ・イン・ロンドン』のボーナス・トラックであるが、このライブは67年8月25日にハワイのホノルルで行われたもの。 ブライアンとヴァン・ダイク・パークスの労作で、ステージ上のリード・ボーカルは何とブライアン本人である!!
ライブで度々取り上げられる作品であるが、この時はまだ慣れていないのか、メンバーの演奏はぎこちなく全体的に乗り切れていない。 スタジオ版ではピアノで奏でられるオルゴールのメイン・パートが何とも頼りなく、ステージでの再現が難しい様子が窺える。 ただ、コーラス・アレンジはかなりスタジオ版に忠実である。 スタジオ版はアルバム『スマイリー・スマイル』に収録。
表と対比させた裏ジャケット。
世界よ目を覚ませ
作曲・作詞:ブライアン・ウィルソン/アル・ジャーディン
一つ一つ星が輝き
太陽の光はもうここには無い
一つ一つ星が消え
朝日が空をぽっと明るくする
清らかな朝で世界を目覚めさせよう
晴れた朝に挨拶しよう
流水で顔を洗おう
とっても素晴らしい人生を送るんだ
月は明るく輝き、私のベッドで眠る
みんなが素晴らしい1日になるように
清らかな朝で世界を目覚めさせよう
晴れた朝に挨拶しよう
感謝の気持ちを忘れずに
あなたが呼べばいつでも私はそこにいる
一つ一つ星が輝き
太陽の光はもうここには無い
対訳:管理人
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