サンフラワー
Sunflower
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70年8月にワーナー配下のブラザー/リプリーズから発表されたビーチ・ボーイズのオリジナル・アルバム。
「アド・サム・ミュージック・トゥ・ユア・デイ」、「フォーエヴァー」など秀作揃いの作品が並ぶ。
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プロデュース:ビーチ・ボーイズ
Brother-Reprise Revel 1970.8.31
曲目リスト
ヒストリー
ブライアンは、父マリー・ウィルソンとの共作「ブレイク・アウェイ」の制作で再び自信を取り戻していた。
その後、リック・ヘンと共同で「ソウルフル・オールド・マン・サンシャイン」を合作、この曲は未発表ながらジャズ・フィーリングたっぷりの傑作となった。
(「ソウルフル・オールド・マン・サンシャイン」は98年にリリースされたサントラ盤『エンドレス・ハーモニー』で聴く事が出来る)
リックはマリーがビーチ・ボーイズのライバルとして64年からプロデュースしていたサンレイズのメンバーの一人で、以前は共作する事自体考えられないことだった。
さて、グループとの契約が終了したキャピトルは、印税未払い問題で敗訴した報復としてビーチ・ボーイズの過去の作品を全て廃盤にする。 印税生活をしていたマリーは、収益が落ちたことでグループの著作権を全て管理している会社“シー・オブ・チューン”の売却を考えるようになった。 そしてついに69年11月、ブライアンに無断でアーヴィング・アーモ社に“シー・オブ・チューン”の100%の権利を70万ドルで売却してしまうのである!! この権利はその後2,000万ドル以上の価値を持つことになる貴重なもので、会社の反対を押し切ったマリー最大の愚挙であった。 当時のマネージャーのニック・グリロがアーモ社と同額で権利50%を残す契約をフィルムウェイズ社と進めていたにも関わらず。。。
この父親の行為は、自身の作品を我が子のように愛していたブライアンの心をズタズタに引き裂いた。 ブライアンは自暴自棄になり「もう僕のものじゃないから」と言って、大切な自分のゴールド・ディスクを全てセッション・ドラマーのハル・ブレインに譲ろうとハルの家を訪ねたこともあったという。
この一件で再び意気消沈したブライアンは再び精神状態が悪化、自室に閉じ篭り1日中ベットで過ごすようになるのだ。
アルバム解説
キャピトルとの契約が満了し、新規一転、1970年8月31日にワーナー配下のブラザー/リプリーズから初めて発表されたアルバム。 当初『アド・サム・ミュージック』と名づけられる予定だったが、内容が弱いと2度もレコード会社から発売を拒否された。その後、収録曲の半数を入れ替えてリリースされた経緯がある。
この時期ブライアンは父マリーとの共同作業に刺激を受け、昔のように創作意欲に燃えていた。 殆どの曲がブライアンのホーム・スタジオを中心にレコーディングされたのだが、天才エンジニアのスティーブ・デスパーの構築した24チャンネル最新音響システムの効果は絶大で、これまでの作品に比べ音質が格段に向上している。 そしてここに収められた楽曲は、芳醇で暖かなサウンドが見事な秀作揃い。ブライアンは全12曲中、共作を含め7曲の楽曲を提供するなど久しぶりに大活躍しているが、彼一人に頼らずにメンバー全員が団結した素晴らしい出来栄えである。
彼らの洗練されたコーラス/ハーモニーが幾層にも積み重なり、まるで荒波のような迫力で迫ってくる。 間違いなくグループの最高傑作であり、『ペット・サウンズ』に比肩する高いレベルの音楽性を誇る。 イギリスでは「ビーチ・ボーイズのサージェント・ペパーだ!」と熱狂的に賞賛された(英国版『サンフラワー』には冒頭1曲目に「コットン・フィールズ」が追加されている)。 一方、アメリカではチャート151位と完全に無視され、母国における人気がどん底状態だった事を如実に現す結果となった。
アルバムジャケットにはタイトルの“ひまわり”を象徴するかのような、暖かな日差しを浴びたメンバー6人と子供たちが芝生で戯れたショットが使われている。 中央やや右に座ったブライアンが抱っこしている赤ちゃんは、68年4月に生まれたばかりの長女カーニーである。
2021年に発売された『フィール・フロウズ:サンフラワー&サーフズ・アップ・セッションズ 1969~1971』はこの時期の未発表音源や別ミックス、別バージョンなど133トラック収録の50周年記念エディションであるが、改めて当時の充実ぶりを窺い知る事ができる素晴らしい内容である。
デニス・ウィルソンが作った重厚なサウンドを持つロック曲。同時期に発表したデニスのソロ・シングル「サウンド・オブ・フリー」にも通じる、彼の情熱的なフィーリングが炸裂した傑作ナンバーである。 70年6月29日にシングルとして発表したがチャート・インしなかった。 詩は彼の愛情をストレートに表現したもの。
ホーン・セクションが作品に独特の表情を与えているのだが、特筆すべきは爆発的なハーモニーの躍動感であろう。 デニスの野性的で力強いボーカル、複雑に絡み合うメンバーのバック・コーラスは圧巻で、声の塊がまるで楽器のようだ。
実際に録音したものよりテープ・スピードが上げられているが、2013年のボックス・セット『カリフォルニアの夢』にはバッキング・トラックを除いたオリジナル・スピードの素晴らしいアカペラを聴く事が出来る。 また、2021年にリリースされた『フィール・フロウズ:サンフラワー&サーフズ・アップ・セッションズ 1969~1971』デラックスエディションには69年の別ミックスと、ジャズフィーリングに満ちた初期バッキング・トラックが収録されている。
世界に溢れている愛についてブライアンが作った希望に満ちた傑作曲。 彼の書いた作品で、これ程前向きなものは「素敵じゃないか」以来ではないか? 溌剌としたリード・ボーカルは弟のカール・ウィルソン。グロッケンシュピール(鉄琴)がサウンドに彩りを添える。
シンプルであるが、懐かしいオープン・ハーモニーが全面に広がる、豊かな才能が感じられる最高のポップ・チューンだ。 曲の終盤に息を呑むようなアカペラが登場するが、当時アメリカン・スプリングというグループを結成していたブライアンの妻マリリン、義姉ダイアンらもコーラスに参加している。 前曲「スリップ・オン・スルー」のB面としてシングル・カットされている。
ブライアンは95年のソロ・アルバム『駄目な僕』でこの曲をセルフ・カバーしているが、彼のお気に入りなのだろう。 2021年の『フィール・フロウズ:サンフラワー&サーフズ・アップ・セッションズ 1969~1971』には、カールのボーカルが異なり、中間部をブライアンが歌っている、エンディングがサビのコーラスで終わる別テイクを聴くことができる。
イントロのギターとバスドラが爽やかなリズムを刻む、音楽の素晴らしさを讃えたフォーク調の音楽賛歌。 ストリングスやベースの響きが瑞々しく透明感ある優しいサウンドを奏でる。
リード・ボーカルは1番と2番をマイク、3番のコーラスの後の「Your doctor knows it..」をブルース、ソウルフルで感傷的な中間部をカール、続く「When day is over」をブライアンが担当。4番はマイク、アル、ブルースの順番に歌われている(たぶん)。
奇跡のコーラスが胸を打つビーチ・ボーイズ流ゴスペルと表現したら語弊があるだろうか? まるで彼らの音楽人生の集大成のような趣がある。 この圧倒的なハーモニーは数あるビーチ・ボーイズ作品の中でも最上級の素晴らしさだ。 作者はブライアン、マイク、友人のジョー・ノット。
70年2月23日に「ブレイク・アウェイ」に続くシングルとしてリリースされ全米64位をマーク。 B面は「スージー・シンシナティ」。
2001年の未発表音源集『ホーソーン,カリフォルニア』には奇跡のボーカル・トラックを聴く事が出来る。
美しいハーモニーが楽しめるバッキング&バック・ボーカルは2021年の『フィール・フロウズ:サンフラワー&サーフズ・アップ・セッションズ 1969~1971』に収録されている。 また、デラックスエディションDisc5には、マイク、アル、ブルースが順にボーカルを担当した初期バージョンが聴ける。
全世界の女性に向けたデニスの愛のメッセージを込めた作品で、荒削りな男の魅力が溢れているブギ・ウギ調の陽気なロックン・ロール曲。
ホンキー・トンク・ピアノの響きとアメリカン・スプリングによる女性コーラスがフィーチャーされた、大人の色気を持ったセクシーな仕上がりになっている。 間奏におけるデニスのアドリブのような台詞は、自由奔放な彼の性格がそのままストレートに出ているようだ。 メンバーのコーラスもカッコ良く、特にマイクのバス・ボイスがこの曲にマッチしている。 乱れ打つデニスのドラミングも注目だ。
ブライアンとブルースの2人が作った、アルバムジャケット写真をイメージさせる穏やかで心安らぐラブ・ソング。 もともと「ウィー・アー・トゥゲザー・アゲイン」という68年の未発表曲のメロディをモチーフに完成させたという。 フランス人の編曲家、ミシェル・コロンビエによるフレンチ・ホルンやフルートが奏でる無垢で暖かいサウンドは、とてもお洒落で好感が持てる。
個人的に大好きな作風である。 この癒しの雰囲気は、もう『スマイル』の悪夢は過去のものになったかのようだ。
小生が幼少の頃(71年頃かな・・・)、テレビのCMの挿入歌としてこの曲が使われていたのを記憶している。セントラル・パークみたいな広い公園で幸せそうな母子が和んでいるシーンをおぼろげに憶えているのだが、何のCMだったかは思い出せない(汗)。日清のカップ・ヌードルだったっけな??
激しいドラムとボンゴ類のパーカッションのリズミカルなサウンドが印象的なアップテンポのロックンロールで、ビーチ・ボーイズの作品としては珍しいハードな作風。 それにしてもデニスの殴りつけるように連打するドラムは圧巻だ。 デニスとカールが中心に作った作品で、シャウトするリード・ボーカルはカールによるもの。 中間部の「It's About Time」を繰り返すパートはマイクが歌っている。
ヘビーなギター・プレイなど中々頑張っているのだが、暖かく情緒的な作品に囲まれているせいで浮いた存在となってしまった。
ブルース・ジョンストンが作った、彼らしい感傷的な作品。リード・ボーカルもブルース。 次回作に収録される「ディズニー・ガールズ」にも通じる、ヨーロピアン・テイストたっぷりのラヴ・ソングで、ブライアンの作品とはまた違った魅力を持ったキュートな作風である。 オーケストラ編曲は「ディードリ」と同様にミシェル・コロンビエによるもの。
70年11月に「イッツ・アバウト・タイム」とのカップリングでシングル・カットされている。
2021年の『フィール・フロウズ:サンフラワー&サーフズ・アップ・セッションズ 1969~1971』では情熱的な高音トランペットが入ったカラオケを聴くことができる。
ブライアンとマイクの共作。少し哲学的ではあるが、何とも切ない純粋な愛の詩だ。 リード・ボーカルはマイク。サビでは彼には珍しいフォルセット・ボイスが聴こえるが、いつの間にかブライアンのバック・ハーモニーに変わる。 非常にきれいなメロディを持った曲で、この幻想的で繊細な感覚はブライアンの豊かな才能の産物である。
サウンド・エフェクトや深いエコー、ファズ・ギターなどがややオーバー・プロデュースの感はあるものの、小生はアルバムのベスト・トラックだと思っている。 複雑に絡み合うハーモニーは、『ペット・サウンズ』の「駄目な僕」を彷彿させる見事なものだ。
『20/20』セッションでもレコーディングされていたようで、2018年に配信された20/20のセッション集『アイ・キャン・ヒア・ミュージック‐20/20セッションズ』にシタールっぽいギターが印象的な初期のバッキング・トラックを聴く事が出来る。 また、2021年にリリースされた『フィール・フロウズ:サンフラワー&サーフズ・アップ・セッションズ 1969~1971』にはカオス寸前、脅威のバッキング&バック・ボーカルとアカペラ・ミックスが収録されている。
デニスがグレッグ・ヤコブソンと共作した最高のラヴ・ソング。 詞は当時の彼女バーバラ・チャレンに捧げたもの。バーバラとは後に結婚、2人の息子をもうける。 優しく繊細なデニスのボーカルが素晴らしいが、バック・コーラスのブライアンのフォルセットも絶品、特に後半のハーモニーは兄弟愛を感じさせる胸が熱くなるもの。
シングル「クール・クール・ウォーター」のB面としてもリリースされた。
2001年の『ホーソーン,カリフォルニア』には、ブライアンのハイ・テンションぶりが印象的なボーカルのみのアカペラ・ミックスを聴く事ができる。 また、92年の『サマー・イン・パラダイス』には、俳優のジョン・ステイモスがリード・ボーカルのセルフ・カバーが収録された。 何故ステイモスかというと、人気ドラマ「フルハウス」で彼が扮するジェシーのテーマ・ソングがこの曲だったため。
美しいカールの歌声が心地良い、ドリーミーなラヴ・ソング。ここでもミシェル・コロンビエによるオーケストレイションが素晴らしい。 ブルース・ジョンストン以外のメンバー全員の共作となっているが、この複雑なコード進行は間違いなくブライアンの作風である。 ブライアンが参加したこのアルバムのレコーディングは69年11月頃までなので、年明けに行われたこの曲のセッションでは各メンバーによる歌入れだけが行われたのかも知れない。
後半に登場するトランペットが実にいい味を出している。
アル・ジャーディンがブライアンと共作したチャーミングな作品。
窓に飛んできた茶色のすずめをモチーフにした内容で、小鳥の
リード・ボーカルはブルース・ジョンストン。間奏ではブライアンによるフランス語の語りを聴くことが出来る。 又、エンディングでは当時1歳半のブライアンの長女カーニーがコーラスに参加している。
未発表となったアルバム『スマイル』のセッションでレコーディングされ、ブライアンが最後まで制作に
冒頭の指パッチンとエレクトリック・ハープシコードをバックに「Coolin' so coolin' coolin' me」というスキャットのようなフレーズが歌われるのは『ワイルド・ハニー』セッションの頃に録音されたもの。 2011年の『スマイル・セッションズ』のコレクターズ・ボックスにこのパートのレコーディング風景を聴く事が出来る。
中間部の嵐のような効果音と不気味なメンバーのアカペラで歌われるコーラス・パートは、"スマイル・セッション"での「ラヴ・トゥ・セイ・ダダ」という曲の断片。テープの逆回転も使ったサウンドは斬新である。 元ネタとなった「ラヴ・トゥ・セイ・ダダ」自体、元々は「英雄と悪漢」の1パートであった。
後半のピアノとムーグ・シンセサイザーによる奇妙な音色が印象的なパートは、冒頭のパートをベースに本アルバム・セッションで新たに録音されたもの。 マイクとブライアンが交互に歌っている。
71年4月、「フォーエヴァー」とのカップリングでシングル・カットされ、当時のコンサートでも演奏されている。
フォーエバー
作曲・作詞:デニス・ウィルソン/グレッグ・ヤコブソン
もし僕のすべての言葉で
君を笑顔に出来たなら
永遠に話していたい
(愛とともに)
僕らの願いを尋ねたら
そう、それは永遠に輝いていた
(僕の愛とともに、僕の、僕の・・・)
僕が歌えば
君を喜びで満たすことが出来るだろう
永遠に歌いたい
(僕の愛とともに、僕の、僕の、僕の、僕の)
フォーエバー
フォーエバー
君を愛し続けることが僕の幸せなんだ
Do Do Do Do Do Do Do 僕の愛とともに
僕の愛を君に捧げよう
君の心に生き続ける
そして永遠に刻みつける
(僕の愛とともに)
フォーエバー
フォーエバー
君を愛し続けることが僕の幸せなんだ
歌ってあげよう愛しのベイビー
歌ってあげたいんだ愛しのベイビー
ベイビー、ベイビー、ベイビー、愛しのベイビー
歌ってあげたいんだ
歌ってあげたいんだ僕のベイビー
あぁ
僕の、僕の、僕の・・・
だから僕は行かなくちゃいけない
でも永遠じゃない
Na Na Na Na
どうしても君を愛さなければならないんだ
フォーエバー
対訳:管理人
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