ビーチ・ボーイズ・イン・コンサート
The Beach Boys In Concert
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73年11月にリリースされたビーチ・ボーイズの3枚目となるライブ・アルバム。
2枚組として発売されゴールド・ディスクを獲得した。
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プロデュース:ビーチ・ボーイズ
Brother-Reprise Revel 1973.11.19
曲目リスト
ヒストリー
1973年5月15日、ビーチ・ボーイズの初代マネージャーでウィルソン兄弟の実父、マリー・ウィルソンが心臓発作で他界する。 デニスは1年程前から彼なりに父との時間を作っていた。又、ブライアンはオランダから帰国後、マリーが当時温めていた「ラザロー」というラヴ・ソングをレコーディングする約束をしていた。 あれほど父を嫌っていたブライアンとデニスであったが、2人はしばらくの間マリーの死を受け入れる事ができなかったという。
当時のデニスはプライベートでは低迷しており、バーバラ・チャレンとの結婚生活は破綻していた。 しかし翌年になると新しい恋人となる女優のカレン・ラムと出会い、美しい帆船のハーモニー号を購入、人生の転換期を迎えることになるのだ。
さて、ライブ・バンドとして再び注目を集め始めたビーチ・ボーイズであったが、新メンバーのブロンディ・チャップリンとリッキー・ファターが相次いで脱退する。 ブライアンが隠遁生活の状態とはいえ、グループは再びレコード・デビュー当時のオリジナル5人組となった。
アルバム解説
3枚目となるライブ・アルバム『ビーチ・ボーイズ・イン・コンサート』は、1973年11月にリリースされ、全米25位のヒットを記録、ブラザー/リプリーズ・レーベルでは初のゴールド・ディスクを獲得した(枚数ではなく総売上げとしてだが)。 72年冬と73年夏に行われたコンサートの模様を収録した2枚組みで、ライブ・バンドとして最も勢いのあった当時の姿を確認する事が出来るものだ。
エレキ・ギターとムーグ・シンセサイザーを中心としたサウンドは、2人の黒人リッキー・ファター(ドラムス)とブロンディ・チャップリン(ボーカル、ベース)の加入によりファンキーでパワフルなものになっている。 又、バンドの中心的存在はマイクとカールであるが、ブライアンのパートを歌う機会が多いアル・ジャーディンが大活躍しているのも特徴である。 最新アルバム『オランダ』と66年の大傑作アルバム『ペット・サウンズ』からの選曲が中心であるが、初期のサーフィン/ホット・ロッド・ソングから中期のモダンな隠れた名曲までバランスのいいライン・ナップとなっている。 そしてどの曲も当時のライブ・バンドとしての勢いを感じさせる、軽快で斬新なアレンジが施された素晴らしい内容となった。 パフォーマーとしての彼らを語る時、その実力をこのアルバムは証明している。 前年に腕を負傷してドラムを叩けなくなったデニスはキーボードで参加している。 尚、ブロンディはこの年の秋に、リッキーは翌年に脱退したため、2人が一緒に参加した最後のレコードとなった。
コンサートのオープニングを飾るのは、当時の最新アルバム『オランダ』からの選曲。 冒頭、長いタムの連打から始まり、ギターとシンセを中心とした力強いサウンドが展開される。
苦難を乗り越え航海を続ける船乗りを称えた内容の歌で、ブロンディ・チャップリンのリード・ボーカルはスタジオ版よりソウルフルでパワーを感じるものだ。 作者の一人レイ・ケネディは、後にKDBというバンドやソロとしてこの曲をカバーしている。
帆船ジョンB号の遭難を歌ったトラディショナル・ソングをブライアンがビーチ・ボーイズ風のロック曲にアレンジしたもの。 リード・ボーカルはカールとマイク。 ギター・リフがムーグ・シンセサイザーで奏でられ、歯切れがいいリッキー・ファターのドラムが軽快なリズムを刻む。
66年の傑作アルバム『ペット・サウンズ』からの選曲。
大航海時代のアメリカ開拓の悲劇を歌った内容で、オープニングからこの曲までの3曲は、みな船乗りに関連する作品である。 カールのリード・ボーカルやコーラス、演奏は、かなりスタジオ版に近いものだ。
曲の後半に入る前のタメで一瞬声援が上がる。アルバム『オランダ』より。
ブライアンとトニー・アッシャーが作った繊細な愛の歌で、アルバム『ペット・サウンズ』からの渋い選曲。リード・ボーカルはアル・ジャーディン。 シンプルであるが素晴らしいハーモニーを聴かせる。
イントロのギターとシンセサイザーの音色は斬新。さりげないドラムのリズムもいい。演奏が終わり「サンキュー、アル」という声が聞こえる。
「サンキュー、素晴らしいロックをもう1曲行こう」というカールの声の後、イントロのギターが聴こえた途端に会場から大声援が上がる、ビーチ・ボーイズの代表作。 リード・ボーカルは、グループのメイン・ボーカリストのマイク。ギターとドラムがリズミカルで、安定したハーモニーも貫禄がある。 超有名曲だけあって1番の盛り上がりを見せる。演奏後、カールの「良かったよ、君たちもそう思うだろう」というような会話が聞こえる。
65年のアルバム『サマー・デイズ』より。
ライブには欠かせない67年の傑作ロック曲。ソウルフルなリード・ボーカルはカール。 スタジオ版よりアップ・テンポでパワフルな歌、演奏が展開されている。 又、68年のライブ『ライブ・イン・ロンドン』での演奏に比べるとドラムやパーカッションなどのリズムが強調された、よりロック色の強いアレンジとなっている。
ブラザー/リプリーズ時代のベスト・アルバム『テン・イヤーズ・オブ・ハーモニー』にも収録されたが、ライブ音源とは思えない完璧な演奏はまるでスタジオ録音のようである。 スタジオ版はアルバム『ワイルド・ハニー』に収録されている。
力強いイントロで始まる、カールがリード・ボーカルのファンキーなロック曲。 ワイルドなエレキ・ギターが全面にフィーチャーされ、スタジオ版よりもずっとパワフルで素晴らしい歌と演奏を披露している。
72年のアルバム『カール・アンド・ザ・パッションズ - ソー・タフ』からの選曲。
「ブライアンの作品の中では僕の一番好きな曲"キャロライン・ノー"です」というカールによる曲紹介で始まる、66年の『ペット・サウンズ』収録の失恋ソングの傑作。 シンセとエレクトリック・ピアノをバックに、カールのしっとりとしたリード・ボーカルが美しい。
間奏とエンディングでは、フルートとピアノがモダンなジャズ風のアレンジを聴かせる。 95年にブライアンのソロ・アルバム、『駄目な僕』でこの曲をセルフ・カバーしているが、その時のアレンジに似た、とてもお洒落な演奏を聴かせている。
アルバム『オランダ』から選曲された、ブロンディが哀調を帯びた歌声でソウルフルに歌い上げる、スローなブルース。
エレクトリック・ピアノがじっくりと雰囲気を盛り上げていて、間奏では2分にも及ぶ電子オルガンのソロが緊張感あるパフォーマンスを展開させている。
ブライアンとヴァン・ダイク・パークスの作った西部劇の小オペラのような作品で、67年のアルバム『スマイリー・スマイル』からの選曲である。 ホンキー・トンク・ピアノも入り、リズミカルで軽快なカントリー調にアレンジされている。爽快なリード・ボーカルはアル。 ライブでは演奏しにくそうな曲調であるが、ここでは見事なアレンジ、演奏を聴かせている。
間奏のオルゴールのメロディに「自転車乗りたちよ、お前たちがアメリカ・インディアンにしたことを見ろ」というデニスのボーカルが聴こえるが、この一節はリリースされたスタジオ版には含まれていないフレーズで、『スマイル』のコンセプトを表現した重要なものだ。
オリジナルには無いスリリングな前奏がついたシンセサイザーをフィーチャーしたロック曲。リード・ボーカルはカール、一部アル、ブロンディ、マイクも歌っている。
『オランダ』に収録されたスタジオ版は完成途中のような中途半端な印象を与えるものであったが、ここでのライブ演奏は実に素晴らしい。タイトで躍動感ある爽快な仕上がりで、作品の魅力を余すことなく伝える見事なパフォーマンスである。
ブライアンが作った難解な曲をスローで落ち着いたアレンジで見事に再現している。しっとりとしたソウルフルなリード・ボーカルはカール。 粘っこいエレキ・ギターが印象的である。
67年の『ワイルド・ハニー』からの渋い選曲。スタジオ版はクールでどこか無機質な印象を与えるものだったが、このステージでの演奏はブルージーで熱気に満ちている。
ブギウギ調のギターのイントロで始まる65年のナンバー・ワン・ヒット曲。 オリジナルの良さを残しつつも、ロック調に仕立てたアレンジはこの曲の新たな魅力を引き出したと言える。 アルのリード・ボーカルは、気負いのないリラックスした歌い方である。 シンバルを多用したリッキー・ファターのドラムと間奏のギターが非常にワイルドな印象を与えている。
スタジオ版は『ビーチ・ボーイズ・トゥデイ!』、『サマー・デイズ』に収録。
マイクが「オールディーズ・ファンのためにもう一曲古いのをいこう」というと、会場から歓声が上がる。 ブライアンが書いた初期の傑作バラードである。
リード・ボーカルは前曲に引き続き、アル・ジャーディン。 フォー・フレッシュメンばりのしっとりとしたハーモニーを聴かせる。 演奏はシンプルで意外とオリジナルに忠実。ちょっとリッキー・ファターのドラムが張り切りすぎであるが。
63年の傑作アルバム『サーファー・ガール』からの選曲。
ブライアンとトニー・アッシャー共作の『ペット・サウンズ』オープニング・ナンバー。 この曲のリード・ボーカルもアル、中間部はマイクが歌っている。 スタジオ版よりシンプルなアレンジは、この希望に満ちた元気ソングを軽快なロック調に仕上げている。 曲のテンポがゆっくりになる後半、会場の盛り上がりはピークに達する。
『オランダ』収録予定であったが、「セイル・オン・セイラー」を収録するためお蔵入りとなったゴスペル調の曲。 リッキー・ファター、ブロンディ・チャップリン、マイク・ラヴの共作。 熱唱スタイルのロック曲で、リード・ボーカルはリッキー。
スタジオ版は未発表であるが、73年にドイツで生産された『オランダ』アルバムの1部には手違いでこの曲が収録されたものがリリースされたらしい。
ブライアンとロジャー・クリスチャンが書いたバラードの名曲。リッキー・ファターのドラムは、調子に乗ってロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」のリズムを刻んでいる。 懐かしいオープン・ハーモニーは見事、正にビーチ・ボーイズ・ミュージックである。 ただ、リード・ボーカルのアルの声はキーが高かったためか、かすれて苦しそうである。
64年の「シャット・ダウン・ヴォリューム2」からの選曲。
ビーチ・ボーイズの初めての大ヒット・ナンバーで、今でも彼らの代表作として支持されているステージではお馴染みの曲。 ディストーションの効いたギターを全面にフィーチャーしたハードなアレンジで演奏されている。 リード・ボーカルはここぞとばかりに張り切っているマイク・ラヴ。
63年のセカンド・アルバム、「サーフィン・U.S.A.」より。
カールが歌いだした瞬間、会場から大歓声が上がる。 ブライアンとマイクの作った作品で、66年暮れに世界中で大ヒットした曲。
ステージでの再現が難しそうな曲であるが、メンバーは難なくこなしており、絶妙なハーモニーを披露している。 エレクトリック・テルミンが印象的だ。 会場の声援を聞くとこの曲がいかに聴衆から支持されているか窺い知れる。
スタジオ版は『スマイリー・スマイル』に収録。
64年の「シャット・ダウン・ヴォリューム2」に収録されているブライアンが作った不滅の青春賛歌。 リード・ボーカルはマイク。「サーフィン・U.S.A.」同様にディストーションの効いたエレキ・ギターがパワフルな演奏を聴かせている。
オリジナルよりもワイルドなアレンジで、コーラスも素晴らしい仕上がり。 見事なパフォーマンスに観衆の声援も凄まじく、最高潮のエンディングでステージに幕を下ろす。
ダーリン
作曲:ブライアン・ウィルソン、作詞:マイク・ラヴ
あぁダーリン
僕のダーリン、何て最高なんだ
言葉ではうまく言えそうもないけど
ダーリン、何とか方法を考えるよ
僕にとって君がどれだけ大切なのか
たぶん運命なんだろう
熱い気持ちで抱きしめよう
人生で最も大事なものとして
あぁダーリン
よく夢を見るのさ、可愛いダーリン
その愛で僕の人生を
柔らかく包んでくれる君
とても大切な愛
あぁぁぁ
僕はまだまだ半人前
愛も知らずにいたけど、今は違う
悲しみに沈んだ僕を元気にしてくれる君
これまでの人生で手に入れた最高のもの
毎夜君を愛し続けよう
なぜって君がとっても素敵だから
毎晩、あぁぁダーリン
対訳:管理人
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